将来はスポーツに関わる仕事をしたい
――素朴な疑問なんですけど、これだけ毎日鍛えていても筋肉痛になるものですか?
津吹:全然なりますよ。やっぱりそれぐらいやらないと、筋力は上がっていかないですから。七種競技は最後に800メートルがあるんですけど、400を走れる力がないと、800も200も走れないんです。だから400メートルの選手と同じメニューもこなせないといけない。その他にも投てきもやりますし、跳躍の練習も取り入れますから、一番しんどい走りのメニューをやってから、跳んだり投げたりという感じですね。それぞれの種目の選手に必要なものを求めつつ、それ以上のものも必要になるので、苦しいですけど、その分楽しさもあります。
――現在は大学院2年生ということですが、大学を出てから大学院に進んだ背景は?
津吹:本当は大学4年の時に日本選手権に出たくて3年の冬から頑張っていたのですが、あと40点くらい足りなくて出られなかったんです。そこで当然引退ということも考えました。4年生になったら就職活動もしていて、面接では何をしたいのかということを聞かれますよね。最初は受かるように受け答えをしていたんですけど、何度も聞かれると「やっぱり陸上がやりたい」となってしまったんです。どうしても日本選手権に出たいという気持ちが強くて、大学院に行こうと決めました。
――競技を続けられる環境を求めたわけですね。
津吹:そうです。普通の単独種目であれば、仕事をしながらでも練習をして日本選手権を目指すことはできると思いますが、混成競技はそれだと時間が足りないので、一番いい選択が大学院かなと思いました。
――現在、大学院ではどのような勉強をしているのですか?
津吹:運動学を専攻しています。大学時代は中学校、高校の保健体育専攻の学部にいたんですけど、大学院では保健体育の運動学コースという専門的に学べるところに入って、自分の競技での動作分析をしつつ、論文を読んだりしています。
――勉強がそのまま競技にも役立つのですね。
津吹:そうなんですよ。だから大学院の授業はすごく面白いです。悩まないで最初からこの選択をしていれば良かったかなって。興味のあることにばかり飛びついている感じなのですが、今は本当に充実しています。
――大学院を出た後のことはもう考えているのですか?
津吹:大学院は二年間なんですけど、もう少し英語とか勉強したいことがあるので、学校を休学して来年あたりアメリカに行こうかなとも考えています。
――将来はスポーツに関わる仕事をしたい?
津吹:どういう形がいいのかはまだ決めかねている部分もあります。ただ、スポーツには関わっていきたいと思っています。最近はこうして媒体とかにも呼んでもらえることも増えましたし、混成競技ってこんなに面白いんだよっていうことを発信していきたいです。一番いいのはスポーツ関連の企業に入れることなのかもしれませんが、入れなくても個人で発信できるようなことをしていけたらと思います。
――『超人女子』で活躍すると、陸上七種競技ってすごいんだなって思う人も増えると思います。
津吹:そうやって注目してもらえたらすごく嬉しいです。もっと盛り上がっていったら、自分も七種競技をやってみたいと思う人も増えるかもしれないし、盛り上げれば競技レベルも上がっていくと思うんです。あとに続く後輩のためにも、盛り上げていきたいなと思っているので、一人でも多くの人に七種競技の魅力を伝えていきたいです。
取材&撮影/佐久間一彦
1994年9月14日生まれ(おとめ座)。神奈川県出身。東京学芸大学所属。中学時代から陸上競技をはじめ、弥栄高校時代には七種競技、走高跳でインターハイに出場。走高跳では全日本ジュニアで4位。『超人女子』では陸上七種競技の選手としてのポテンシャルを発揮して、数々の種目で優勝を飾っている。
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