パラスポーツの熱を少しでも広めたい【2018ジャパンパラ ウィルチェアーラグビー競技大会】




日本代表の優勝で幕を閉じた、『2018ジャパンパラ ウィルチェアーラグビー競技大会』。大会の結果や、ウィルチェアーラグビーの魅力についてはすでにお伝えしましたが、今大会期間中、会場の近くではパラスポーツ普及を目指すさまざまなイベントが開催されていました。その模様をお届けします。

パラスポーツ普及に積極的に取り組む千葉市

今大会の会場となったのは、千葉ポートアリーナ。千葉市では、2020東京パラリンピックで4競技(ゴールボール、シッティングバレーボール、テコンドー、車いすフェンシング)が幕張メッセで開催されることが決まっています。また、ウィルチェアーラグビーの大会が毎年この会場で開催されているように、千葉市は熊谷俊人市長のもと「車いすスポーツの聖地」を目指して大会支援や練習環境の充実を図っており、パラスポーツの普及にも積極的に取り組んでいます。

大会期間中の4日間、会場隣の千葉ポートスクエアで同時開催されたパラスポーツ大会応援イベント『Go!Together!~みんな一緒に共生する未来~』では、パラアスリートを招いてのトークショーや、地元学校のパフォーマンスなどのステージイベントの他、ボッチャや車いすバスケットを体験できるブース、千葉市内にある競技用車いすのメーカーであるオーエックスエンジニアリングによる展示・試乗、さらには手話の講習会などを開催。千葉県産の素材を使ったグルメスペースも多数設置され、たくさん家族連れがイベントを楽しんでいました。

ボッチャの体験スペース
オーエックスエンジニアリングの展示
手話の講習会

大会の試合の合間には、ウィルチェアーラグビーの体験会も実施。最終日は3位決定戦(フランス代表vsスウェーデン代表)の試合後の休憩時間に開催され、体験会には試合が終わったばかりの選手たちが参加。先ほどまで試合をしていた選手たちに、ウィルチェアーラグビーの醍醐味であるタックルをしてもらうというエキサイティングな体験会となりました。車いすが浮いてしまうほどの強烈なタックルを食らった参加者ですが、その迫力には笑みがこぼれるほどでした。

また、ウィルチェアーラグビーに限らず、パラスポーツは競技ごとに細かいルールが設定されており、最初はルールの理解に少し戸惑うかもしれません。でも、そんな人にぜひ見つけてほしいのがガイドブック。多くのパラスポーツで、わかりやすい絵柄と写真によるガイドブックが発行されており、会場では無料配布されています。大きな大会となれば、開催中の競技以外のガイドブックが置かれていることもあるので、ぜひ一度お手に取ってみると良いでしょう。

パラスポーツのガイドブック

『2018ジャパンパラ ウィルチェアーラグビー競技大会』の決勝戦では3000人以上が集まってスタンドを埋め、日本代表チームに大きな声援を送りました。「応援の音で選手間の声が聞こえなかった」と選手が言っていたほどの盛り上がりだったと、千葉市の熊谷市長は自身のSNSで伝えており、パラスポーツの広がりをより感じさせる雰囲気だったと言えるでしょう。

とはいえヨーロッパなどでは、ウィルチェアーラグビーや車いすバスケットボールはクラブチームの試合であっても数万人がスタンドを埋めるほどの熱狂ぶりで、パラリンピックでもオリンピックと同等以上の盛り上がりをみせます。残念ながら日本では、まだそこには至っていません。

なぜヨーロッパではパラスポーツでもそれほどの人気があるのか? それは観客にとっては障害の有無は関係なく、純粋にいちスポーツとして競技に熱狂し、いちアスリートとして選手のプレーを楽しんでいるからではないでしょうか。サッカーなどの人気スポーツと同じ感覚で、パラスポーツを観戦しているのだと思います。現在の日本では、福祉的観点でパラスポーツを見ている人が多いようにみえます。

多くの観客で埋まったスタンド

もっとパラスポーツが盛り上がってほしい!……そう考えるVITUP!では今後、競技の魅力を伝えつつ、アスリートとしての選手たちに注目し、彼らの日々のトレーニングなどカラダづくりの観点から彼ら取り上げていきたいと思います。

文・写真/木村雄大