女性版ヌシの天真爛漫【ジムほど素敵な場所はない #07】




写真はイメージです。©semenenkostas – stock.adobe.com

前回、ジムに生息する「ヌシ」について書いたところ、ある女性から「女性版のヌシもいますよ」と密告を受けました。

それは、いるでしょう。いろんな意味で男性版よりすごそうです。
ということで、今回はその女性(仮名=Yさん)の証言をもとに、男の知らない世界をのぞいてみたいと思います。

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女性版ヌシは、トレーニングエリアでは比較的おとなしくしているのが通常のようです。筋肉を積極的に肥大させるのは男性のほうが多いため、そこでは遠慮しているのかもしれません。

彼女たちが本領を発揮するのは、たとえばスタジオやプールだそうです。
ああ、なるほど。たしかにそのエリアでは女性の存在感が大きいですね。仲間同士で談笑していたり、トレーナーやインストラクターをつかまえてアレやコレやと話したりしている姿をよく見かけます。

Yさんの分析によると、ヌシは密室度が高まるほど姐御肌のキャラクターを前面に打ち出すとのこと。その法則にしたがうと、「スタジオやプール<ロッカールームや談話室」となります。そして、ジム内における最高の環境は「サウナ室」となります。

ミストが立ちのぼる中、数人の子分…いや友人をしたがえ、その向こうにどっしりと陣取るヌシ。もちろん私は生で見たことはありませんが、迫力がありそうです。

ただ、見た目はそうでも、根は人情味にあふれているのがヌシの特徴。さらに「人が好き」であることも男女を問わない共通項です。「そこに愛はあるんか?」と説きながら、彼らもそれを自らの行動の指針にしているものです。

さて、ある時なにげなくサウナの扉を開けたYさん。「大奥」を彷彿させる突然の威圧感に一瞬たじろいだものの、退室するのもおかしいと隅のほうにちょこんと座りました。その瞬間――。

写真はイメージです。©Jacob Lund – stock.adobe.com

「今日は早いじゃない! もう終わり?」

笑顔で、そして部屋のサイズのわりに大きすぎる声で話しかけてきたのが、のちにヌシと知る人物。初対面でした。

「ええ……、今日はちょっと軽めにしとこうかなと……」。言い終わる前に「若いうちよ、アンタ。今のうちにしっかりやっときなさいよぉ」と、次の言葉を浴びせられます。
ウンウンと無言でうなずく周囲の子分…いや友人たち。

「ありがとうございます。がんばります」

「そぉーよぉー。で、いい男つかまえんのよぉ。アンタ、●●さん(トレーナー)なんか、どう? そろそろいいトシなのにさぁ、彼女いないってよぉ?」

……その後は、ヌシの独壇場。Yさんは相槌を打つくらいしかできず、延々聞き役にまわりました。とはいえ、さすがはヌシ、一方的なマシンガントークの中にも、どことなく思いやりや気配りがにじんでいたそうです。

「いろいろありがとうございました。そろそろ失礼します」
のぼせそうになり、ドアを開けようとしたYさん。すると「ちょっとアンタ」と呼び止められました。

「あんまりデカい顔すんなよ」

 

 

 

エエエェェ―――――――――っ!!!???

なにその急展開!?
それはまったく予想できなかった!

 

「なんか悪いこと言っちゃったのかな? ほぼなにも言ってないんだけどな」「こんど会ったら謝ったほうがいいのかな?」と、Yさんは何日も頭を悩ませたそうです。

ところが、2週間ほど経って再会すると、「ハーイ、元気ぃ? 今からお茶するけど行くぅ?」と、ヌシは拍子抜けするほどフレンドリーでした。

「やっぱり人の上に立つ人って、天真爛漫なんだなって思いました」と、人柄の良さがにじみ出る感想を述べるYさん。

 

イヤYさん、上に立ってはいないと思うよ、会員同士だから……。

 

文/ジェット・ハヤタ


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