フルコンタクト空手の全国大会を10連覇!! 世界へ挑むスーパー17歳・後迫龍輝の自主トレとは?

2019年9月現在、世界101の国と地域に10万名の登録会員を有するフルコンタクト空手界最大規模の団体が、NPO法人 全世界空手道連盟 新極真会です。この新極真会の大阪神戸湾岸支部に所属し、現在、注目度が急上昇しているのが、高校3年生の超新星・後迫龍輝(うしろさこ・りゅうき)選手。今回は彼の強さの土台となっている自主トレーニングメニューを紹介します。

新極真会では年に一度、幼年からシニアまでの総勢約3000名が年代別で頂点を競う『カラテドリームフェスティバル』という名のメガイベントが行なわれています。後迫選手は2009年にこの大会の小学2年生男子の部で初優勝をはたして以降、各学年で優勝を続け、昨年は高校生男子重量級の部を制して前人未踏の10連覇という大記録を達成しています。

カラテドリームカップ(現・フェスティバル)2009では、62名がエントリーした小学2年生男子で頂点に立った後迫選手。ここから10連覇の伝説が幕を開けました
自宅のトレーニングルームに飾られた、栄光の軌跡の一部。ドリームフェスティバルの一番大きなトロフィーが10本綺麗に並んでいるさまは壮観です

しかし、後迫選手の偉業はそれだけにとどまりません。10連覇を置き土産にドリームフェスティバルを卒業した後迫選手は、今年5月に大阪で行なわれた一般部の日本一決定戦『第5回全日本フルコンタクト空手道選手権大会』の中量級に挑戦し、男子では大会史上最年少タイ記録となる17歳での優勝を飾りました。この勝利によって、今年の11月9日・10日に東京・武蔵野の森総合スポーツプラザで開催される4年に一度の無差別級最強決定戦・第12回全世界空手道選手権大会に日本代表として出場することになりました。

快進撃を続ける後迫選手は道場での稽古の他に、小学校低学年の頃から父・英和さんの考案した自主トレーニングメニューを欠かさず行なってきたといいます。ここでは、その一部を紹介します。

【坂ダッシュ】
10本前後(約200m)

心肺機能を高めるため、小学校低学年から行なってきた坂ダッシュ。自宅周辺にある3つの坂を利用するが、中でも写真の坂は急こう配かつ200mの長さを誇る、心臓破りのモンスター。自宅から坂までの約3kmの道のりはランニングで往復する。

【公園の遊具】
約30分間

自宅から約1kmの場所にある公園の遊具も、トレーニングに活用できる。縄のアスレチックや「SASUKE」のような遊具で、楽しみながらフィジカルを強化する。他の利用者の迷惑にならないよう、人がいない夜に行なうことが多い

【霧吹き連続噴射】
水がなくなるまで(1本約900ml)

かつて阪神タイガースに在籍した呉昇桓投手が行なっていた、握力と前腕を鍛えるためのトレーニング。屋外や風呂場などで、水が満タンの霧吹きを両手に持ち、2本の水が完全になくなるまで吹き続ける。ハンドグリップでも握力は鍛えられるが、取り入れた当時はまだ小学生だったため、負荷が軽く目に見えて達成感があるこちらを選んだ。少年部の頃は100回を3セットに分けるなど、回数で区切るとさらに無理なく鍛えられる。

【パワーブリーズ】
10回3セット

肺活量アップのため中学生時代から近所のプールで潜水を行なっていたが、現在は呼吸筋トレーニング器具の「パワーブリーズ」で鍛えることが多い。口にくわえて最大限に吸い込み、ゆっくり吐いて肺の空気をすべて出す。鼻栓をするとより強い負荷がかけられる。「吸って吐く」動作を10回、3セット行なう。肺に負担がかかるため、無理は禁物。後迫選手も毎日は行なわず、多くても2日に1回にとどめている。

【懸垂】
10回5セット(休日は10回10セット)

マシンを使い、自宅で行なう懸垂トレーニング。普段は5セット程度だが、学校や道場の稽古がない日は10セット行なう。写真のように、肩甲骨のストレッチにもマシンを活用している。

【ダンベルを持ち上げて首の強化】
10回3セット

ダンベルに帯などの頑丈な布を通し、口でくわえて首を上げ下げすることで、首まわりの筋肉を鍛える。重りは2.5kgをふたつで、合計5kg。スポーツと密接な関係があると言われている、噛む力を同時に鍛えられることもメリット。ただし、首は重大なケガにつながる恐れもあるため、行なう際は細心の注意を払うこと。

【ビー玉拾い】
すべてのビー玉(50個程度)を器に入れ終わるまで

足の指先の感覚を養うためのトレーニング。ビー玉約50個を床に置き、足の指先でひとつずつしっかり握って器に戻す。左右の足を1回ずつ行なう。

【ヒザの力でミットを押し込む】
左右10セットずつ

廻し蹴りを放つ際の体の使い方を養い、正しいフォームを意識するため、蹴るのではなくミットをヒザの力で3回押し込み、4回目は思い切り蹴る。それを10セット行ない、逆の足でも10セット行なう。

【速読トレーニング】
10回×3種類

道具を使わないため、自宅でも手軽に動体視力を鍛えられるトレーニング。両手の人差し指を左右、上下、手前と奥に30cmくらいの間隔で置き、顔を動かさずに目だけで追う。1往復を1回と数え、10回を3種類行なう。

【テレビゲーム(格闘技)】
とくに決まりはなし

一見、トレーニングとは無関係のようにも思えるが、格闘技のゲームを行なうことで試合のシミュレーションが行なえるのだという。この他、動画サイトで自身やライバルたちの試合も欠かさずチェックしている。

いかがでしたでしょうか。父の英和さんは「運動能力が飛躍的に伸びるゴールデンエイジ(5歳~12歳)の時期は、スケボーや野球や縄跳びなど、いろいろな運動をさせるように心がけました。子どもの頃は基本的に好きなことでなければ長続きしないので、トレーニングは楽しみながらできる工夫が必要だと思います」と語ります。ちょっとした遊びでもトレーニングの要素を取り入れることで、グングン身体能力を高めてきた後迫選手。

第12回全世界空手道選手権大会の舞台で強豪の海外勢を相手にどんな闘いを見せてくれるのか、今から楽しみです。みなさまもぜひ、会場でフルコンタクト空手世界最高峰の闘いを体感してください。

取材・文・写真/伊藤翼 写真提供/新極真会