在宅勤務が増えるなか在宅筋トレを考える【佐久間編集長コラム「週刊VITUP!」第106回】




VITUP!読者の皆様、こんにちは。日曜日のひととき、いかがお過ごしでしょうか?

前回のコラムでジムの新型コロナウイルスへの対応を紹介しましたが、事態は日々変化しております。政府が新型コロナウイルスの集団感染への対策として、不特定多数が接触する恐れが高い場所での活動を当面控えるよう呼びかけたことなどを踏まえ、スポーツジムの間でも、休業の動きが広がっています。

一施設から複数の感染者が報告された事例に、ライブハウス、屋形船、麻雀店などと合わせてスポーツジムも含まれています(厚生労働省発表)。換気が不十分な環境では、一人が多くの人に感染させるということが確認されており、休業もやむなしと言えるかもしれません。

私が通っているジムは執筆時点(3/6)では通常営業ですが、「スポーツジムは感染リスクが高い」という報道の影響もあってか、利用者が自粛しているような印象も受けます。もともと朝8時のジムは利用者が少ないとはいえ、先週はジム入ってから帰るまで私一人しか利用者がいない時間もありました。また、マスクを着用したままトレーニングをする人がいたり、器具の使用前に過剰に消毒する人がいたりと、利用者の皆さんがかなりナーバスになっていることは事実です。

今後の状況しだいでは、私の通っているジムも休業となる可能性もあるでしょう。そうなった場合でも、トレーニングそのものを休止することはできません。そこで在宅勤務ならぬ、在宅筋トレです。プッシュアップバーと腹筋ローラー、ゴムチューブといった補助器具は所有しているため、これらを有効活用してトレーニングをすることになるでしょう。

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在宅筋トレになっても、しっかりと考えてトレーニングをすれば、筋肉に負荷をかけることはできます。たとえばプッシュアップはベンチプレスだと何キロ相当の負荷がかかるか考えてみましょう(参考:「石井直方の筋肉まるわかり大事典2」)。

プッシュアップはつま先を支点として、ヘソ付近にある重心をテコの原理で持ち上げる動作です。ほぼ体の中心にある作用点(重心)を、先端(頭より手前ですが)にある腕で持ち上げると考えると、力点から支点までの距離は、支点から作用点までの距離の約2倍なので、力点に必要な力は重心にかかる力の半分で済みます。つまり、体重60㎏の人の場合、プッシュアップで働かせる力は30㎏程度に相当するということです。

普段、ベンチプレスで80㎏あげている人だと、30㎏では物足りないのは当然。軽い重量で筋肉に負荷をかけると考えたら、回数を多くこなすことが大事になります。プッシュアップでも、もうこれ以上は上がらないという限界まで追い込むと、確実に効果はあります。他にもセット間のレストを短くしたり、ゆっくりとした動作で筋肉を収縮させたりと、意識的に負荷をかけることができれば、在宅筋トレでも筋肉に刺激は与えられるはずです。

一日も早く事態が終息することを願っておりますが、先のことはまったく予測がつきません。ジムの使用休止にも対応できる準備は必要でしょうね。

 

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアンの取材を手がける。