誰もがおそらくやったことであるであろう、ストレッチ。体を伸ばすこと……と、みんな理解はしているだろうが、実はもっと奥が深いもの。この連載企画では、そんなストレッチのエキスパートである長畑芳仁先生に、ストレッチの奥深さを話してもらう。今回は、「バリスティックストレッチ」「スタティックストレッチ」について。
A.異なる二つのストレッチの種類のことです。
日本語でいえばバリスティックは「反動的」、スタティックは「静的」になります。バリスティックストレッチは反動的に急激に伸ばす、スタティックストレッチはゆっくりと伸ばすストレッチです。
多くの人が「ストレッチ」という言葉を聞いて連想するのはスタティックストレッチだと思います。バリスティックは「反動的」な動きを用いたストレッチ、例えばブラジル体操などがそれに当たります。ラジオ体操もバリスティックストレッチの一つと考えていいでしょう。
バリスティックストレッチは急激な動作となるため、瞬間的に強いストレッチが筋肉にかかります。十分にウォームアップができていればよいですが、筋肉が固くなっている状態でいきなりバリスティックを行なうと、ケガをしてしまう可能性があります。順番としては、スタティックストレッチから始まり、ダイナミックストレッチ、バリスティックストレッチという順に行うのがいいでしょう。
ダイナミックストレッチとは、主働筋が収縮すると拮抗筋は弛緩するという「相反神経作用」を利用したストレッチです。伸ばしたい筋肉の拮抗筋群(裏側の筋肉)、上腕二頭筋の場合は上腕三頭筋、胸の場合は背中を意識的に収縮させていきます。伸ばしたい筋肉の反対側(裏側)の筋肉に力を入れる、という意識でいいでしょう。
※本記事は、2017年に公開した記事を再構成したものとなります
長畑芳仁(ながはた・よしひと)
1960年、大阪府出身。 特定非営利活動法人日本ストレッチング協会理事長。日本体育協会認定アスレティックトレーナー。 帝京大学講師。早稲田大学教育学部卒業、順天堂大学大学院体力学専攻修了。 2001年「すとれっち塾戸田公園店」開設。専門分野はアスレティックトレーニング、スポーツ科学、アスレティックリハビリテーション。リコーラグビー部など、多数の社会人・大学チームのストレングスコーチ、および日本代表ボートチームのフィジカルサポートなどを務める。「ストレッチまるわかり大事典」(ベースボール・マガジン社)「アクティブBODYストレッチ」(日東書院)など著書多数。
日本ストレッチング協会HP