主将たちに聞くwithコロナと学ボ~日本体育大学バーベルクラブ主将・浅見優斗君(4年)【GKB応援団】




新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ジムや大学が閉鎖されてきたここ数ヶ月。果たしてトレーニングに勤しみ、ボディビルやパワーリフティングでの躍進を目指す学生たちは、この活動自粛期間をどう過ごしてきたのか? 緊急事態宣言も解除となりに明るい話題も増えているなか、各大学の主将や中心メンバーにインタビューを実施。最終回となる今回は日本体育大学バーベルクラブ主将の浅見優斗君(4年)に話を聞いた。

こういう状況になってしまったからこそ
トレーニングができる環境に感謝したい

――トレーニング系の大学の部活動では最大クラスの日体大バーベルクラブの主将として、今年はどのように引っ張っていいこうと考えていましたか?

浅見:まず現在は50人近いメンバーが所属しているのですが、2年前までは全学年合わせても15人前後でした。それまではみんなの距離も近くて全員とコミュニケーションを取るのに難しさを感じることもなく、意識しなくても団結力が生まれる感じはありました。ただ去年は1年生が25人くらい入部し、途中入部で去年の2年生も18人くらい増えたので、去年だけで倍以上に膨れ上がったという状況なんです。

――一気に大所帯になったわけですね。

浅見:はい。だから週1回集まってミーティングやトレーニング、ポージング練習をしているのですが、それだけ状況が変わってもこれまでと同じような形で活動を続けていたこともあり、どうにも収集がつかなくなっていきました。そういうこともあり今年は、顧問の岡田(隆)先生やコーチの三矢(紘駆)さん、(望月)あもんさんなどクラブOBの方々ともお話をしながら、今までとは違うやり方で部をまとめていかなくてはいけないと考えていたところでした。例えばミーティングにしても、前もって議題をしっかり決めるとか。当たり前のことではあるんですけど、そういう細かいところも決めて、後輩たちに落とし込んでいくというのを徹底しようと思っていたんです。

――そういうなかで、活動自粛期間となってしまいました。

浅見:例年なら新入生が入ってきて顔を合わせ、「今年いくぞ!」という気持ちになるのですが、それがないため、感覚としては長い春休みを過ごしている感じです。メンバーとのコミュニケーションに関しては、主将という立場であるためメンバー全員のグループLINEで「大会が開催されるかどうはまだわからないけど、こういう時だからこそみんなで頑張っていこう」という発信をしたりしましたが、そこまで全員で密に連絡をとっているわけではありませんでした。

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――トレーニングの面ではいかがですか?

浅見:自分の場合は家にダンベルなどの筋トレの道具がなく、朝起きてウォーキングして、プッシュアップバーを使ったトレーニングや、公園でチンニングなりレッグレイズなりをやったり、本来なら大会に向けて減量に入る時期なので食事を調整していって……という感じです。

――モチベーションを保つのも大変でしたか?

浅見:モチベーションというより、不安という気持ちが大きかったです。大会と大学院入試の時期がほぼ重なるということもあり、日本一の部活の主将として大会に臨むという気持ちと、受かるぞという気持ちのなかこういう状況にもなってしまって、本当にどうなるのかなという不安がありました。後輩たちからも「大会どうなるんですか?」「減量のモチベーションが……」という相談を受けてはいたんですけど、本当に僕もわからなかったので、「みんなも同じ気持ちだと思うからここで腐らず、地道にやっていこう」としか言えず、気持ちを高めてあげることも正直難しかったです。

――そういうなかで6月10日、全日本学生ボディビル選手権大会の中止が決まってしまいました。

浅見:「やっぱり」という気持ちもありますが……学生大会って、JBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)が主催する一般の大会とはまったく違う雰囲気で、学校ごとで出場することによる団結感など、一度出場したらヤミツキになる楽しさがあります。やっぱり学生大会って特別なものなんですよね。限りある大学生という期間のなか、最後の1年を主将として、みんなとワーっと楽しめる場所がなくなったのはやっぱり寂しいですし、自分もみんなも、今はただただ落胆という気持ちが大きいと思います。

――気持ちを保つのも大変な状況ではあると思いますが、クラブとしての活動はいずれ再開するでしょうし、主将の存在は大切になると思います。

浅見:こういう状況のなかで全員の気持ちやモチベーションを高めるというのは、みんないろいろと考えていることもあるでしょうし、簡単ではないと思います。自分としては、今は部をまとめてどこかに導いていくよりは、トレーニングを通じてこうやってみんなで集まれるというのはすごく幸せな環境であること、そこにすごく感謝をしなくてはいけないと感じているのがまずあります。

――こういうことがあったことで、そう思えると。

浅見:クラブのメンバーとしてトレーニングをしていますが、そこで終わりではなく、トレーニングは卒業後もずっとやり続けていくもの。思うようなトレーニングができない時間を過ごしたことで、トレーニングができることのありがたみを、みんな感じているのではないでしょうか。またいつできなくなる日がくるかもしれないので、その気持ちを常に持ってこれからもトレーニングと向き合っていこうと自分は思います。筋トレは最終的には個人でやるものなのですが、今、この日体大バーベルクラブにいられる幸せを感じながら、これからも成長していければいいなと思います。

取材・文/木村雄大

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