サプリメントの形状には意味がある【桑原弘樹のサプリ道】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養に関する疑問を解決する新連載。第5回は、粉末や固形など、サプリメントにさまざまな形状が存在するのはなぜ?という疑問について。

■「パウダー」「チュアブル」「スティック」「カプセル」。それぞれの特徴

サプリメントは、利用シーンなどを想定して形状のバリエーションが増えるケースが多いです。

私もクレアチンを作った時は、純粋なパウダーとチュアブルのタブレットの2種類を用意しました。BCAAの場合は、パウダーとチュアブルタブレットとスティックの顆粒タイプの3種類をラインナップしました。

パウダータイプはほぼ原末の状態で、多少香料で味付けをしている程度です。飲みやすいかと聞かれれば、決しておいしいとは答え難い代物です。しかし、逆に言えば不要なものがほとんど含まれていませんので、必要な成分だけを確実に摂取することができます。また加工費がさほどかかりませんので、結果的には価格もリーズナブルになっていきます。

一方、チュアブルタイプのタブレットは、ラムネ菓子のような感覚でおいしく食べられることを目指していました。また携帯にも便利なので、ピルケースなどに詰め替えて持ち運べますし、いつでも摂取しやすいという特長もあります。

欠点は、タブレットにするために結着剤が必要となりますから、目的としている成分以外のものも摂取することになります。クレアチンのタブレットの場合は、1粒が2gでその半分がクレアチンという割合でしたし、BCAAのタブレットは1粒中の1/3くらいしかBCAAを配合できませんでした。

スティックタイプはその中間的な位置づけで、持ち運びに便利であると同時に目的の成分の割合も比較的高く配合できます。

ただし、多くのスティックタイプは水などと一緒に飲むことになりますので、そのまま食べられるタブレットよりは摂取シーンが限られたりします。プロテインの場合はその多くがパウダーですが、タブレットなどは持ち運びや摂取シーンの自由度を想定してのことでしょう。

あとは、カプセルタイプのサプリメントも多いです。これは直接食するに値しないほど味的に癖がある成分は、カプセルにしてそのまま水と一緒に飲んでしまうというケースです。

例えば世田谷育ちで有名な関節成分のグルコサミンですが、通常のグルコサミンは原料にえぐ味のような強い癖があります。そのままパウダーで摂取したり、ダイレクトインで飲むスティックタイプにも向いていません。そこで、多くのグルコサミンは味わうことなく摂取できるカプセルタイプであったり、タブレットの場合もチュアブルでないケースがほとんどです。

コラーゲンは原料に癖が少ないので、パウダータイプでプロテインのようにして飲んだり、ドリンクにしたりもできるのです。

 


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。