筋肉の主原料「BCAA」とは?




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養に関する疑問を解決する連載。第14回は、「BCAA」について。

■スタミナ向上や集中力維持にも効果あり

前回は「プロテイン」と「アミノ酸」の違いを説明しました。今回は「BCAA」です。

BCAAは日本語で分岐鎖(ぶんきさ)アミノ酸を指し、具体的には「バリン」「ロイシン」「イソロイシン」という3つのアミノ酸の総称です。

これらは必須アミノ酸なので、体内では合成することができません。前回もお伝えしたように必須アミノ酸は全部で9種類ありますが、他の必須アミノ酸と比較した際のBCAAならではの特徴は、主に筋肉で代謝されるという点です。

多くのアミノ酸は肝臓で代謝されるのに対して、BCAAを代謝する酵素が筋肉内にあるため、筋肉を使えば使うほどBCAAが代謝される、つまり消費されていくというわけです。

ところが、BCAAは必須アミノ酸なので体内ではつくられませんから、そのままにしておくと筋肉内からBCAAがどんどんと減っていくことになり、それが筋肉の分解につながってしまいます。

また、筋肉中のタンパク質の約35%がこのBCAAで占められており、まさに筋肉の主原料であることから、筋肉の材料となるアミノ酸と言えます。

筋肉にとって重要な栄養素として扱われるBCAAですが、それ以外においても代謝されたBCAAは直接エネルギーとして利用されるために、持久系の競技などではスタミナ向上であったり、長時間の競技では集中力を維持させる効果などがわかっているため、多くのアスリートやトレーニーに愛用されているアミノ酸です。

摂取のタイミングは、やはり筋肉を使うシーン、すなわちトレーニングや競技中が理想と言えます。トレーニング中に摂取できない場合は、手前で摂取したり、直後に補充したりという工夫でもいいかもしれません。

一回の摂取量は2~3g程度で効果アリという報告もありますが、ある程度の強度のトレーニングであったり、ランニングなどのように長時間の運動となる場合は、合計で10gほどの摂取をおすすめしています。

逆にトレーニング以外のシーンにおいては、さほど頻繁に摂取をする必要はないアミノ酸かもしれません。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。