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【Ken Yamamotoの腰痛ゼロ革命】第2回=Ken Yamamotoが誕生するまで

 

”世界を股にかける治療家”Ken Yamamoto(ケン・ヤマモト)の連載『腰痛ゼロ革命』の第2回は、彼が治療家を目指すことになったルーツを探ります。世界のKen Yamamotoは、どのように誕生したのでしょうか。歴史を辿っていくと治療に対するこだわりも見えてきました。

Ken先生が整体師に興味を持つようになったのは、学生の頃だった。妹さんが大腿骨を骨折し、病院で全治3ヵ月と診断された大ケガだったにもかかわらず、整骨師が2ヵ月で治してしまったのだ。これに感動して整体師の道を志すものの、父の大反対にあってしまう。

 

「機械の設計士の親父と大ゲンカしました。『理工系の大学を出て、それでも整体師になりたいなら認めてやる』というので機械科に進学したんですけど、全然面白くないんです(苦笑)。それでこっそり試験を受けて体育学部に転部したらバレまして。家を叩き出されて、ド貧困を味わいました」

 

勘当されてからは、アルバイトをしながら体育学部で念願の「身体の仕組み」を学び、好きな柔道にも打ち込めた。お金は無かったが充実した生活を送っていたものの、この時にひどい腰痛に襲われてしまう。

 

医師の診断は「腰椎すべり症」だった。

 

「『これ以上、柔道を続けたら車椅子の生活だよ』と言われてがっかりしました。でも、あきらめずに『腕がいい』と言われる治療院を探して、いろんな治療を受けました。そうしたら『仙骨治療院』で治って、そこに就職したんです」

 

不運に見舞われたKen先生だったが、意外にも「腰痛になってラッキーだった」と笑う。

 

「治療によって『痛みが無くなること』を自分自身の体で知りましたし、ひどい痛みを抱えた患者さんの『どうにかして痛みをとりたい』という切実な思いも、自分で経験しているからよく分かることができました。人生、すべて何事もとりようなんですよね」

 

だが、その後も波瀾万丈が続く……。

 

「お世話になった院長と意見が合わず、22歳で治療院をクビになり、失業保険を貰いながら、3ヵ月間、整体学校に通いました。それで一通り勉強して、知り合いの治療院に『タダでいいから』と頼んで、成果を上げて稼ぎながら『これなら自分でできるな』と思って治療院を開業すると、これがうまく軌道に乗ったんです(笑)」

 

若い頃から整体師としてのセンスと実力が、ずば抜けていたのだろう。さらにKen先生は、治療院を経営しつつ学校に通い、専門知識の習得に努めた。27歳で柔道整復師国家資格を習得し、整骨院を開業。30歳で目黒区医師会立看護学校を卒業して免許取得する。准看護師の資格を持つ整体師は、きわめて稀である。

 

「いやいや、違うんですよ(笑)。治療院が流行るかどうかは整体師の腕ではなくてコミュニケーション能力なんです。体の痛みや不調だけではなく、家庭や仕事、なんでも悩みを聞いてあげることが大切です。ただ、患者さんのほうが病気の知識があるので『高血圧で』とか『糖尿病だ』と聞いて『大変ですねー』って話を合わせながらの治療が恥ずかしくなってきて(苦笑)。『もっと医学の知識が必要だ』と感じたのと、徹底的に追求しないと気が済まない性格なんです。多分、病気なんでしょう(笑)」

 

冗談めかしながら、Ken先生は「治療家として、覚悟を決めた経験」を明かした。

 

「人の身体は、知れば知るほど奥が深くて、もっともっと知りたくなるんです。解剖学なんて、僕は体育学部ですから一通り勉強したし、整体でも、骨接ぎの学校でも、看護学校でも勉強しました。自分でも参考書を読み漁って、相当知っているつもりだったんです。でも実際にアメリカの医学部で、自分でメスを持ち、ご献体を解剖して、知らないことだらけだと気づいた。その時『これは一生掛かっても終わらなそうだ』と覚悟を決めました」

 

もう1つ、Ken先生は大事なポイントを明かした。

 

「『医学の常識』は日々変わります。だから『完璧に分かった』ということはないんです。たとえば、野球のピッチャーが投げた後にアイシングしますよね。今、メジャーリーグではやっていないチームもあります。人の感覚は『痛い』よりも『冷たい』が鋭くて、痛みをまぎらわす効果と、毛細血管の出血を抑えるため5分、6分なら効果はあるかもしれない。

でも、それ以上冷やすことに意味はないし、むしろ『筋衛生細胞』という、普段眠っていて、ケガしたら細胞の修復のために動き出す細胞をアイシングで眠りっぱなしにさせる可能性もある。つまり、回復を遅らせるという見方もあるんです。こうしたアメリカで学んだことをSNSでみんなにお知らせすると、いい意味でも悪い意味でもかなりの反響があります(苦笑)」

 

「腰痛」は誰でも知っているが、その原因の大部分が「医学的に解明できていない」ということはあまり知られていない。

 

「これだけ医学が発達していても『腰痛の原因の85%はいまだに医学的に解明できていない』と言われています。僕も、腰痛を追いかけていって、姿勢、頸椎、そして股関節に注目しました」

 

Ken先生には、決して忘れられない体験がある。

 

23歳で治療院を開業した時、ヒザの痛みに悩むおばあちゃんが毎日通院してきた。

 

「まず痛みのあるヒザを徹底的に揉んだけど治らない。何をやっても痛みが取れなくて、おばあちゃんも『お医者さんにもヒザが変形してるから痛むのは仕方ないと言われた』というんです」

 

それでもKen先生は、あきらめなかった。

 

「今度はヒザにくっついている上と下の筋肉を徹底的に揉みほぐしてみたんですよ。そうしたら『こんなに痛くないのは何年ぶりだろう』と喜んでくれた。それで痛みの原因はヒザではなくて、ヒザに影響してる筋肉が悪さをしてると分かった。

でも『家に帰ったらまた痛くなった』というので、これもヒントだと思って、今度は足首と股関節を見てみよう、と動きを付けたり調整してみたら、ある時、ぱったりと来なくなってしまった」

 

どうしたんだろう? 体でも悪くしたのかと心配していたら、数日経って、ひょっこりと治療院に顔を出した。

 

「『温泉に行ってきたよ。はい、おみやげ』って(笑)」

 

この経験から、Ken先生は深く納得するところがあったという。

 

「動かない箇所を動くようにしたり、ゆがんでしまった箇所を正常な位置に戻すと痛みは消える。解剖学的な肢位、アナトミカルポジションという解剖学の教科書の1ページ目に載っている人間の基本的な肢位があって、体がゆがんでこの基本的な肢位から外れると痛みは生じて、この基本肢位に戻してあげると痛みは消えていくんです」

 

腰痛は「腰だけ」を見るのではなく、体全体を見て、姿勢を見て、関節の動きや筋肉の付き方を見て、人間本来の「正しい姿勢」、アナトミカルポジションに戻す。

 

すると、痛みは消えていく。

 

「KenYamamotoテクニック」は、毎日治療院に通ってくれたおばあちゃんのヒザの痛みと、医師が「治らない」と断言しても絶対にあきらめなかったKen先生の粘り強い治療によって生まれたのだった。

 

(次回に続く)

取材・撮影:茂田浩司

 

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Ken Yamamoto
東京都出身。東海大学体育学部卒業。中学・高等学校保健体育科教員1級免許取得。23歳で治療院開業。27歳で柔道整復師国家資格取得し、整骨院を開業。30歳で目黒区医師会立看護学校卒業し、免許取得。仙骨専門治療院、整形外科、総合病院整形外科、整骨院、介護センターを経て、整骨院開業。現在は、年間300日以上、海外を中心に解剖学を基に作られたKenYamamotoテクニック(KYT)のセミナー講義並びに大学の授業などを行ない後進の育成にも余念がない。腰痛患者さんの施術を招かれる各国で行なっている。KYTは現在40カ国で使われているテクニックとなっている。