前回、「冬に頻繁、悪化しやすい体の変調を、とくに手・腕に注目してみると、 “ばね指”という症状が挙げられる」と紹介しました。では、そのほかの部位に注目してみるとどうでしょうか。
コンディショニングセラピストの立場から、ここ数年の間に、間違いなく増え続けていると感じるのは、お腹周辺部に対する違和感。今年はコロナの影響によるストレス過多が体の様々なところに蔓延しているからなのか、例年以上に不調を訴える人が多いように感じています。
では、一体どういった違和感が訪れているかと言えば、患者の方々の声を借りると、「お腹に張りがある」あるいは「お腹に‟キリキリ”という痛みを感じる」と訴える人たちが多く、実際に触ってみると、確かに‟カチッ”と防御するかのごとくお腹全体的が甲羅のように硬くなっていて、触れていくとふんわり緩み始め、中の状況がようやく姿を表わしてきます。
また、不調というのは自律神経の影響を受けているため、その影響を受けやすい消化器系にも症状が集まりやすく、ストレスで胃がキリキリ痛むというのもその一つ。腹部は、そうした様々な兆候を一手に引き受ける受け皿になっているからかもしれません。
だからと言って、この場合の腹部の緊張や痛みは胃腸薬を飲めば回復するものではありません。そういう意味では、冷え性などの血行不良を抱える女性に心当たりのある方が多いと思いますが、実は男性にも少なくありません。いや、現代社会においては、むしろ男性のほうが多いかもしれません。なぜなら、男性のほうが意外とデリケートで(失礼!)ストレスを抱え込みやすいから(笑)。
そういう方は、毎日欠かさずお風呂に入って体の芯からじっくりと温めることを心がけてください。最近はシャワーだけで済ませる人が多いようですが、こういった簡略化もお腹のコンディショニングにとってはマイナスでしかありません。
また、腹巻を活用するのもよいでしょう。最近では、可愛い腹巻がたくさんあるようですが、女性の間ではこの腹巻の活用をして「温活」とも言われているようですね。そう言えば、フーテンの寅さんもバカボンのパパも腹巻をしていましたね(笑)。今は、テレワークの人も多いようですから、周囲の目を気にする必要はありません。お腹に違和感を覚えている人は、遠慮せずに腹巻を使用してはいかがでしょうか。
なお、使用の際には、おへその周りだけではなく、おへそから骨盤まで覆うことが可能な大きめのサイズにするのがポイントです。
あるいは、座るときには、ホッカイロをタオルでくるむなどして、お尻を温めてあげることもお勧め。ヨモギ蒸しのように、お尻からジワジワ温めることによって、お腹にもとてもよい影響を与えてくれるのです。
山本康子(やまもと・やすこ)
鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、コンディショニングセラピスト。施術キャリアは30年。日本代表チームのトレーナーとしてトップアスリートのボディコンディショニングを手掛けてきた。その間、約6年に渡り外国人トレーナーと共にヨーロッパなど各地を転戦した経験によって、日本にはないスピリットを強く感じ、施術テクニックはもちろんのこと、人として現在もなお進化すべく努力を続けている。2004年に、アー・ドライ治療院、2013年に筋膜リリース専門のスカンディックケアを開業。施術者の育成と労働環境整備にも力を注ぐ。
アードライ治療院&スカンディックケア
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取材/光成耕司