正座を見直そう!【足のケア#1】




前回、「お腹ポッコリは正座でなおす!?」と題して、お腹とももの前(大腿四頭筋)の関わり合いについてお話ししました。日々のデスクワークによって、大腿四頭筋が短縮し、さらにそれに引っ張られるように腹直筋(お腹)も短縮してしまう。実は、これがお腹ポッコリをつくってしまう大きな原因になってしまっている、と。そこで日常生活に正座を取り入れることによって、ももの前側をストレッチする機会をつくればよいのではないかと提案しました。

今回から「お腹」から「足」のケアへとターゲットを変えていきますが、「足」のケアにも深く関わってくる正座のメリットについて、この機会にもう少し考えてみたいと思います。

実は「お腹ポッコリは正座でなおす!?」と提案したものの、あとでよくよく考えてみると、では正座ができない人はどうすればいいのかというところにまで思いが至らなかったことに気づきました。現在、私たちは日常生活において正座をする機会というのはほとんどありません。機会が失われていけば、その機能も徐々に低下していくものです。

そもそも現代社会において「座る」と言えば、椅子に腰かけることを指し、床に座るときには体育座りか、女性でしたら右か左の一方向に脚を揃えるお姉さん座りか、男性であればあぐらをかくか(近頃は女性のあぐらも多くなりましたが、ヨガなどの影響でしょうか)などです。

ちなみに、腰かけるとは足を休めるために椅子や台の上に腰をおろすことであり、膝を折り曲げて腰をおろす日本的な座位の考え方とは異なります。正座とは、足を崩さず姿勢正しく座ること。そう考えると、正座というのは足を休めるためのものではなく、ある意味、修行の一環と言えるのかもしれません。

実際、剣道や弓道、空手道、柔道などの武道においては、礼法・作法として正座は当たり前のように取り入れられています。また、茶道や華道などの習い事、日本舞踊や歌舞伎などの芸術の分野においても同様であり、そういう意味では、正座はもはや日本文化の象徴と言っても過言ではありません。そう言えば、着物を着るときに足を崩す人はいませんよね。

このように、現代では正座という身体文化は特別なものになってきたため、上記のような習い事をしない限り、正座ができなくなっているのも納得できるのではないでしょうか。

とはいえ、足がしびれてしまうほど長時間する必要はないけれども、ストレッチ感覚で1~2分でもいいので、普段から取り入れてみてはいかがでしょうか? ももの前側のストレッチだけでなく、次回のテーマともなる脛(前脛骨筋)や足関節の前面に対してもとても効果的なのですから。

山本康子(やまもと・やすこ)

鍼灸師、あん摩マッサージ指圧師、コンディショニングセラピスト。施術キャリアは30年。日本代表チームのトレーナーとしてトップアスリートのボディコンディショニングを手掛けてきた。その間、約6年に渡り外国人トレーナーと共にヨーロッパなど各地を転戦した経験によって、日本にはないスピリットを強く感じ、施術テクニックはもちろんのこと、人として現在もなお進化すべく努力を続けている。2004年に、アー・ドライ治療院、2013年に筋膜リリース専門のスカンディックケアを開業。施術者の育成と労働環境整備にも力を注ぐ。

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取材/光成耕司