コース選びとWithコロナ時代のランニングマナー【令和ランニング入門 第3回】




多くの市民ランナーをサポートするクラブチーム「e-Athletes」ヘッドコーチの鈴木彰さんに、コロナ禍にも対応した最新ランニングノウハウを伝授していただくこの連載。第2回でランニングシューズについて学んだ後は、コース選びのポイントを押さえましょう。また、新しく定着してきているWithコロナ時代のランニングマナーも紹介していただきました。

「自分に合った条件で走れる環境をつくることが大事」

ランニングを行なうにあたって、どこを走ればいいのかという疑問があると思います。コース選びに関しては、基本的に走ることが禁じられている場所はほぼないので、どこを走っても問題ないです。それでも安全面だけは意識するようにしましょう。初心者の方は、迷惑をかけたくないという考えで人通りが少ない場所に行くこともあると思いますが、誰もいない場所で倒れてしまい、そのまま亡くなってしまうケースも少なからずあります。まずは、いろいろな意味での安全確保が一番大事です。

ランナーが数多くいる場所として、河川敷が挙げられます。道が続いているので、走ることに関して間違いがない場所です。また、近年はロッカーやシャワー、ウェアの貸出といったサービスを提供する「ランニングステーション」のようなランナー向け施設も登場しています。便利なので利用することはとてもいいことだと思います。その周辺に住んでいる方や勤めている方が、お昼休みや仕事終わりに走るという流れが基本ですが、中には休日に2時間くらいかけて来る人もいます。はたしてそこまで時間をかけて通う必要があるのかと。これはランステのみならず皇居や駒沢オリンピック公園といった有名ランニングスポットにも同じことが言えます。近所でも走れる場所がもっとあるのではないかということです。

基本的には、ランニングコースは自分で開拓する必要があります。各々時間の制約があると思いますし、仕事前に走るのか、会社の帰り道に走るのか、安全性もあってアクセスも良好など、自分に合った条件で走れる環境をつくることが大事だと思います。これは私の経験的にも間違いないことですが、どうしても走るスポットが見つからない……ということはなくて何とかなるものです。日本中どこでも走ることができると思います。

Withコロナ時代のマナーとして気をつける必要があるのが、マスクの着用です。中には多機能ヘッドウェアのBuff ®をフェイスマスクとして代用している方もいます。昨今におけるランニング界のマストアイテムになっていますね。これまでランニングが直接的な要因となったコロナ感染例はないものの、世間の認識は少し違います。人が集まり、息を荒くして走っている構図が、周囲にウイルスをまき散らしているのではないか?という疑念がかなり定着しているようです。マスクやBuff ®は、感染予防目的というよりは、こうした世間の評価に対して「私は安全に配慮して走っています」と示す意味合いでつける必要があります。ランナー同士はもちろん、一般の歩行者とすれ違う際のエチケットという意味合いです。Withコロナ時代の新しいマナーとして、しっかり認識しておきましょう。

取材・文/高野昭喜

※第4回は、熟練度によって変わる練習メニューを伝授していただきます!


鈴木彰(すずき・あきら)
NPO法人あっとランナー代表理事、e-Athletesヘッドコーチ。日本体育協会公認陸上コーチ。東京学芸大学教育学部卒。中学から本格的に走り始め、高校・大学・実業団を経て1989年に指導者に転身。走歴40年、指導歴は30年を超え、大学生アスリート・トップ市民ランナーから、初心者、そして中高年ランナーを多数指導する傍ら、自らも生涯現役を標榜して走り続けている。1985年に初マラソン。ベストタイムは2時間20分43秒。日本陸連普及委員、ランニング学会理事を歴任し、2001年にクラブチームを形態としたランニングスクール・e-Athletesを設立した。