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「人生で何度も失敗した。それが成功の理由だ」(マイケル・ジョーダン)




アメリカ最高峰のバスケットボールリーグである「NBA」。

世界のトップ選手がひしめくリーグで、引退してなお”バスケの神様“として称えられているのがマイケル・ジョーダンだ。

一人で1試合最高69得点をたたき出すオフェンス力や、「エアウォーク」と称された滞空時間を武器に、名実ともにトップ選手として君臨したジョーダン。プロ入り早々に活躍し、スターへの階段を駆け上がった姿からは、挫折など無縁にも思えるだろう。

 

しかしそんな彼が成功の理由を聞かれたとき、飛び出した言葉は意外なものだった。

 

「9000回以上シュートを外し、300試合の勝負に敗れ、勝敗を決める最後のシュートを任されて26回も外した。人生で何度も失敗した。それが成功の理由だ」

 

この言葉を初めて知った時、正直震えた。最も才能を感じさせるプレイヤーから発せられた成功の遺伝子が、「失敗」だったからだ。

 

ジョーダンの強さを語るとき、他の選手が口にするのは得点力でもジャンプでもない。真っ先に声があがるのは、逆境を覆す精神力だ。ジョーダンと対戦した選手たちは、どんなに自軍がリードしていても、「マイケルがこのまま終わるわけがない」と彼の存在に恐怖を感じていたという。

 

外角のシュートやディフェンスが弱いと批判されれば、その欠点を克服してタイトルを掴んで見せる。リーダーシップが無いと言われれば、チームを率いてリーグ3連覇の立役者に輝く。常に逆境を跳ねのける精神力こそが、ジョーダンの真骨頂なのだ。

 

そんなジョーダンは一体、成功の理由を聞かれたときに何を思い出したのだろう。

コートを蹴った時の、まるで浮いているかのような感覚か。それとも試合終盤に感じた、湧き出るような集中力か。栄光に直結しそうな能力はいくらでも思いつくものの、それではあの言葉には結びつかない。

 

もしかすると心に描いたのは、常に戦ってきた逆境の数々なのではないだろうか。それも数字に表すと、多くの選手が絶句しそうなピンチの数々……。

 

失敗や批判を力に変え、前に進んできた日々がジョーダンの力に、そして他の選手から恐れられる「強さ」へと変わっていったのかもしれない。だからこそ彼の言葉は、胸の奥深くに刺さってやまない。

 

誰もがスターになどなれはしない。だが、バスケの神様すらもここまで失敗し、乗り越えて今がある。そう思うとより強く、どこまでも飛べる気がする。

 

失敗が怖いと思ったとき、何かに尻込みしそうなとき。この言葉を思い出そう。

 

文/森本雄大