グルタミンについて教えて【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第120回は、炭水化物を含むサプリメントの効果について。

■「体内で合成される=大切ではない」は間違い

グルタミンは体をつくっている20種類のアミノ酸のひとつで、体内でも合成できる上に体内の遊離アミノ酸の約60%を占めるということから、一見必ずしも優先順位の高いアミノ酸だと思われないかもしれません。実際、サプリメントショップなどでもプロテインやBCAA、クエン酸などに比べると売上的にも必ずしも上位にきていません。

しかしその役割であったり、なぜ体内で合成されるのか、なぜ圧倒的な量が体内にあるのかを考えた時、その考えはガラッと変わります。まず体内で合成されたり、大量に体内に存在するというのは、大切でないということではなくむしろその真逆の理由なのです。とても重要だから体の中で合成されるようにできていて、かつ大量に消費されるからつねに体内に大量に備わっているというわけです。

またその役割に関しては、他のアミノ酸と共同して体をつくる材料の一部という役割を担っていますが、それ以上にグルタミンは単独でのさまざまな生理活性機能があります。アミノ酸はチームプレーによって体タンパクをつくるという重責を担う一方で、個々に単独での機能を発揮しますが、その中でもグルタミンの持つ機能は群を抜いて多いと言えます。筋肉の分解抑制、合成促進、成長ホルモンの分泌促進、肝機能の改善等々。そして何と言ってもグルタミン独自の機能が、胃腸のエネルギー源になるということと、免疫細胞を活性化するという点です。

まず小腸は、グルタミンしかエネルギーとして使えません。つまり栄養の本当の入口である小腸はつねにグルタミンを使って活動しています。逆にグルタミンが足りない状態が生まれると小腸の活動が落ちてしまい、栄養を十分に取り入れられなくなります。また胃粘膜の細胞もグルタミンによって新陳代謝を行ないますから、栄養摂取にとって最も重要な胃腸がグルタミンで元気になっているというわけです。

そしてもうひとつの重責は免疫細胞です。免疫細胞の多くは腸内にありますが、ここでもグルタミンが材料として活用されているのです。逆に言えば免疫が落ちている時は、体内のグルタミンが大量に消費されていて、グルタミン不足の状態になっているとも言えます。これを逆手にとって、起床時や就寝前などにグルタミンを摂取することで、多少グルタミンが消費されても体内に十分に備わっている状態をつくってあげることが、免疫力を維持することになるのです。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。