頭一つ抜ける存在感を見せた宇佐美一歩が学生王者に。来年は連覇へ【第55回全日本学生ボディビル】




10/3(日)、東京・福生市民会館にて開催された第55回全日本ボディビル選手権大会で、阪南大学3年の宇佐美一歩がボディビル部門優勝を果たした。「ボディビルの掛け声」というブームの発祥地とも言えるこの学生大会だが、2019年度は関東大会は開催できたものの全日本大会は台風の影響により延期となり、簡易開催。2020年度はコロナ禍で中止となるなったため、実質、3年ぶりの真剣勝負の舞台となった。

「ずっと狙っていた大会だったので、とにかく嬉しいです。(連覇中の)相澤隼人さん(日体大4年)が出場しないとはいえ、そこはチャンスだと思って頑張ってきました」と振り返る宇佐美。2018年の全国高校生ボディビル選手権で優勝し、大学生となった2019年は、1年生ながら関西学生選手権で各部位別審査を含めた完全優勝を達成、全日本学生では4位に食い込んだ宇佐美にとって、相澤が一般部の大会専念のために不出場ではあったが、是が非でもほしいタイトルであった。

身長は161cmと今大会出場選手の中ではもっとも小さいが、武器である背中の迫力を存分に披露するなどステージ上での存在感は抜群。昨年のマッスルゲート神戸大会でも大人の中に入っても十分に目立ってはいたが、今大会に向けては「全体のバルクアップが今年のテーマ。弱点である脚も特に意識して強化してきました」と話すように、トータルでの迫力は頭一つ抜けていたと言って間違いないだろう。残念ながら、部分賞においては「まだまだ課題ですね」と自身も認識する「脚」のみ西尾健人(東京大学4年)に譲ったが、その他の部位では総なめとなった。

準優勝の高橋明生(右)とのモストマキュラ―一騎打ち。小柄ながらその迫力は抜群の存在感を放った

最後の見せ場となる1分間のフリーポーズにおいては、玉置浩二の「田園」をBGMにチョイス。昨年までは映画サントラのようなシックなカッコよさを持つ曲を選ぶことが多かったため、そこから一変して明るいJ-POP曲を選んだ理由を聞くと、「実は、去年からこの曲を使うことは決めていました。減量が辛かった時期に『田園』を聞いて、何度も泣かされたんです。減量時期は涙もろくなってしまうんですよね(笑)。関西学生大会では準備が間に合わずに昨年と同様のフリーポーズにしましたが、今回もライバルの一人である九州の濱崎響くんに考えてもらいました」とのことだ。

すでに大人の中に入っても十分に戦っていける身体であり、さらに上のステージでの活躍も見たいところだが、今シーズンはこれでコンテスト出場は終了し、また来年に向けて準備を進めていくことになる。

「来年、学生最後の年も必ず優勝して、連覇を果たします」

そう宣言して大阪へ帰っていった宇佐美。1年後、さらなるバージョンアップを重ねたその姿が見れるのを楽しみにしたい。

文・写真/木村雄大

【大会リポート】10/3(日)開催 第55回全日本学生ボディビル選手権大会