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筋トレにまつわる迷信【佐久間編集長コラム「週刊VITUP!」第188回】

VITUP!読者の皆様、こんにちは。日曜日のひととき、いかがお過ごしでしょうか? 本日11月21日は、「いい○○の日」だらけでおなじみの11月にあって、「いい○○の日」がない(日本記念日協会調べ)珍しい日となっております。

 

そんなことはさておき、今回は筋トレにまつわる迷信について書いていきましょう。トレーニングと無縁の生活をしている人には、いまだにプロテインを筋肉増強剤と思っている人がいるように、誤った認識、迷信というものは数多く存在します。

 

そのうちの一つが「筋トレをすると背が伸びない」というもの。中学生や高校生の頃に「筋トレをすると背が伸びなくなる」と言われた経験がある人もいるのではないでしょうか? これはもちろん迷信で、筋トレをすると背が伸びなくなるということはありません。この噂は、1970年代に日本の研究者が子どもの炭鉱労働者の身長が顕著に低いことを報告したことが発端となっています。

 

「炭鉱労働=背が低い」→「炭鉱労働=肉体労働」→「肉体労働=ウエイトトレーニング」→「ウエイトトレーニング=背が伸びない」と歪曲され、ウエイトトレーニングをすると身長が伸びないという噂が世界に広まっていったのです。もちろん、ハードすぎるトレーニングによって、成長に必要なエネルギーが不足してしまったとしたら、身長が伸びないこともあるかもしれませんが、適切に計画されて監督されたトレーニングであれば、問題ないと考えてよいでしょう。

 

また、小学生や中学生がウエイトトレーニングをすると動きが遅くなるというのも迷信です。しっかりと力強い動きをするため、質の高い動きを習得するためには、むしろ筋力は必要であり、そのためのウエイトトレーニングが必要であることは言うまでもありません。ウエイトトレーニングがよくないのではなく、誤ったウエイトトレーニングがよくないと解釈したほうがよいかもしれません。

 

続いての迷信は、これもよく聞く話で「スクワットをするときにヒザをつま先より前に出さない」というもの。この話が広まった背景は、スクワットをするとヒザが痛くなることが多いため、「ヒザへの負担を減らすためにはどうすればよいか?」という疑問に対する答えとしての、「ヒザがつま先より出ないように、お尻を後ろに突き出してやると、太もも前への筋肉の負担が減り、ヒザへの負担も減る」という情報から広まっていったものです。

 

この言葉がいつの間にか「スクワットはヒザに負担がかかるので、つま先よりヒザを前に出してはいけない」という指導に変わっていったというわけです。実際、ヒザへの負担は減るものの、腰への負担が増えたり、逆に太もも前への負担も減ることにより、腱や軟骨などの他の組織が十分に鍛えることができなくなってしまいます。

 

 

また、ヒザがつま先の前に出ないスクワットでは、日常生活やスポーツの動きの準備が十分にできないという問題もあります。たとえば階段を昇り降りするとき、ヒザをつま先より前に出さずにできるでしょうか? なかなか難しいと思います。あるいはしゃがんでジャンプをするとき、ヒザがつま先より前に出ないようにしながらやるのと、それを気にせずバランスよく曲げてやるのとではどちらがうまくジャンプできるでしょうか? 間違いなく後者のほうが上手にジャンプできるはずです。

 

そう考えると、ヒザがつま先より前に出ないことを必要以上に意識するよりも、股関節、ヒザ関節、足関節をバランスよく曲げ伸ばししてスクワットをすることで、下半身をバランスよく鍛えることができるといえます。ヒザが痛くなるのは、トレーニングのやりすぎ、負荷のかけすぎに原因がある場合も多いので、そちらを気をつけたほうがよいでしょう。

 

というわけで筋トレにまつわる迷信を紹介させていただきました。トレーニング方法は日々進化しているので、情報をアップデートしながら、無理なく、無駄なく、取り組んでいけるといいですね。

 

 

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。