サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第165回は、数年前に流行したアルカリイオン水について。
■体にはいいが、あくまでも水の範囲内
アルカリイオン水は以前、大流行した記憶があります。私のまわりでも自宅に整水器を取りつけて、会社にも水筒に入れて持ってくるというハマりようの同僚がいたのを思い出します(そういえば、自分の実家も取りつけていました)。
アルカリイオン水は水道の水を電気分解して、酸性の水とアルカリ性の水に分けて作るものです。プラスの電極とマイナスの電極に分けることで、マイナスの電極には陽イオンが集まってきます。水も還元されてH+とOH-に分解されて、H+が含まれる水はアルカリ性ということになります。
人の身体は弱酸性が最も心地よい状態ですが、ストレスなどによって強酸性へと傾きがちです。それを本来の弱酸性に戻してやるにはアルカリ性が適しているということで、アルカリイオン水はある意味理にかなっていると言えるかもしれません。効果としては胃腸の機能改善というのが最も謳われているようですが、その信憑性についてはまだ裏づけが少し弱い気がしています。
もちろん水ですので、何ら悪いものではありませんし、体によい水という感覚は間違っていないと思いますが、家庭用指定管理医療機器だから間違いないとか、薬やサプリメント並に効果があると標ぼうするのは少しいきすぎかなという感じがします。やはりどこまでいっても水は水であって、その範疇でよい効果が発揮されるという認識が正しいと思います。
ここ数年流行している水素水も同様ですが、アルカリイオン水も水を還元する際に水素が発生しますので、ある意味水素水の一種と言えます。ただし水素水には、錠剤を溶かすものとか、金属製のスティックを浸けるものなどさまざまなタイプがあるので100%イコールではありませんが、活性酸素に対して水素が反応してという効果も期待できるかと思います。ただしこれも、水素水を飲用しての実際の抗酸化の効果については賛否両論あるので、やはり健康によい水という感覚で日々飲用するくらいがちょうどいいかもしれません。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。