バキバキボディのやんちゃパパ。「自分に胸を張れるので、自信を持って何でも挑戦できます」【My Training Life/内田一弥】




アスリートから一般のトレーニーまで、それぞれのトレーニングとの向き合い方を紹介する連載「My Training Life」。今回登場するのは、2019年のBEST BODY JAPAN 東京大会のミスター・ベストボディ部門、フレッシャーズクラス(18歳~29歳)のグランプリであり、直近では今年8月のSuper Body Contest東京大会・SBC部門男子でChampion of the show(総合優勝)に輝いた内田一弥さん。彼がトレーニングに打ちこむ原動力とは、いったい何なのだろうか?

「かっこいい男になりたいと思ったんです。本音を言うと、モテたいという下心だけですね(笑)」

そう言うと、少しやんちゃな笑顔を見せた内田一弥さん。今でこそボディコンテストで活躍しているが、学生時代は小、中、高とサッカー一筋。進学をすべてスポーツ推薦で決め、将来はプロを目指したほどだった。そんな内田さんの人生は、大学進学を機に変わることになる。

「大学のサッカー部で活動していたのですが、ケガでサッカーを続けられなくなってしまいました。それからは運動から離れて、大学生活は遊びに全振りしましたね(笑)。大学を卒業してからは、最初の就職先としてアメリカを選びました」

渡米後は、航空機やレース関係の外装に使う「CFRP」という素材を成形・加工する技術職として勤務。しかし慣れない環境で働く中で、心と体が悲鳴を上げてしまう。

「アメリカの食文化の影響で、体重が一気に5~6キロ増えてしまいました。それに英語がまったく話せなかったので、技術員なのにメンバーとコミュニケーションが取れなかった。ストレス発散の方法もなかったので、半分鬱のような状態になってしまいました」

「日本に帰りたい」という思いが頭をよぎる。そんな時、心の支えになったのがトレーニングだった。マンションに併設されたジムで筋トレを始めると、徐々に気持ちが前向きに変化。ジムで友人もでき、一緒にトレーニングをするようになっていった。長らく運動から離れていた内田さんだったが、あらためて体を動かすことの素晴らしさを実感したという。

「何か嫌なことがあったら、とりあえず筋トレをして汗をかくようにしたんです。それで限界まで追い込むと、もう何も考えられない時間がくるんですよね。そうするとネガティブな思考回路がリセットされて、気がついたらポジティブになっている。それでトレーニングにはまっていきました」

トレーニングでタフな心身を手に入れた内田さんは、見事に3年間のアメリカ勤務を修了。帰国してからもトレーニング熱が冷めることはなく、ジム通いを続けていった。そんな中でいつものようにジムに行くと、友人からある一言をかけられる。

「ジムにベストボディジャパンで埼玉1位だった友人がいて、『うっちー、いい体してるんだから大会に出なよ!』と言われまして。そんなに言うならと思って挑戦してみたんです。とはいえ勝手がわからずボクサーのような生活をして、ポージングも手探りの中で何とか3位に入賞できたんです。最初は勝ち負けなんてどうでもよかったですけど、負けたら悔しさが湧いてきました」

アスリート魂に火がつくと、悔しさをバネにトレーニングを学び始めた。YouTubeでの筋トレ動画視聴や、知り合いのトレーニーからのアドバイスを通して、より効果的なトレーニング方法を模索するようになる。その努力が実を結ぶと、2019年には先述したBEST BODY JAPAN東京大会でグランプリを獲得。今も成長を続ける内田さんは「大変というより楽しいです。何かに向かって進んでいくのは嫌いじゃないんですよ」と笑う。

今年に入ってからも、8月のSuper Body Contest東京大会でSBC部門男子の総合優勝を獲得するなど仕上がりはバッチリ。次の目標は年末のSBC FINALでチャンピオンになることだ。今後の活躍に期待がかかる内田さんに、トレーニングを続ける原動力を聞いてみた。

「モテたいと言いましたけど、筋トレしても実際はモテないですよ(笑)。でも、自分で自分をかっこいいと思えればいいと思うんです。僕は自分がかっこいいと胸を張れるので、自信を持って何でも挑戦できます。嫁や息子にとっても、日本一かっこいい父ちゃんでありたいですね」

己に誇りを持っているからこそ、内面からにじみ出る「かっこよさ」を生み出すことができる。トレーニング愛を胸に、今日も内田さんは男を磨き続ける。

写真提供/内田一弥

写真(SBC東京大会)/森本雄大

取材・文/森本雄大