本命なき大会に突如現れたガクボの新星・刈川啓志郎。サッカー由来の脚を武器に関東学生王者戴冠




9/23(金・祝)、東京・東京・日野市民体育館にて、第62回関東学生ボディビル選手権大会が開催され、学習院大学2年生の刈川啓志郎が部分賞5部門にベストポーザー賞を含む圧巻の成績で優勝を果たした。

ここ数年は泉風雅(早稲田大学卒)や相澤隼人(日本体育大学卒)ら絶対的な本命が存在することが多かったこの学生大会であるが、昨年のTOP4がすべて4年生で卒業済みであり、他大会の実績などを見ても目立った活躍を残した選手は少なく、まさに本命不在。加えて、新たにクラブを立ち上げて参戦した大学、コロナ禍で活動を制限していた大学や選手なども復活しており、どんな選手が出てくるのかを事前に予想するのが困難な大会であったと言えるだろう。

刈川もそのうちの一人。「8月のマッスルゲート東京ベイ大会に初めてコンテストに出場し、ボディビル新人の部と75kg超級で優勝させていただきました。それまでは怪我などもあり断念しており、この関東学生大会が2戦目でした」と、戦前の段階で刈川の名を知る者も決して多くはなかったであろう。

もともと彼はサッカー出身。高校1年生のときに膝を負傷したことをきっかけに補強としてトレーニングをはじめ、ボディビルのトップ選手の映像などを見るうちにどんどんのめり込んでいったとのことだ。「自分の武器は脚ですね。サッカーをやっていたのでもともと太くはなっていたのですが、そこからさらに磨きをかけていきました」と、部分賞審査でもそのバキバキにカットが入り太くたくましい脚には、声援禁止の中でも、会場全体でがうなり声がついあがってしまうほどだった。

迎えた決勝審査では、途中に脱水症状になるアクシデントに見舞われたものの最後までステージに立ち続け、1分間のフリーポーズにおいては、乃木坂46「シンクロニシティ」をBGMに筋肉美を披露。自身のSNSでも伝えた「『柔』のフリーポーズ」も満場一致でベストポーザー賞に値したであろう表現力の高さも見せつけた。

次なる舞台は、10/2(日)に福生市民会館で行なわれる「第56回全日本学生ボディビル選手権大会」。前年王者であり、今年の関西学生王者にもなった宇佐美一歩との壮絶な戦いに期待がかかる。

「今回は水分調整で失敗してしまい、決勝の途中で脱水症状になってしまいました。数値的にはどれくらいとって大丈夫なのか、体感ではなくデータに基づいて、来週の全日本に挑みたいと思います。(宇佐美一歩は)上半身がすごいのでなんとか張り合いつつ、下半身では勝てるように。勝負を盛り上げていきたいと思います」

文・写真/木村雄大