細マッチョにはSBCやBBJがちょうどいい
Super Body Contest(SBC)の最年長選手として、不死鳥のごとく復活を果たした坂部吉昭さん。今年はこれまで通りベストボディジャパン(BBJ)へも参戦を予定しており、休んだぶんを取り戻すがごとく、さらなる熱量で筋トレに励んでいる。今年で70歳、なぜ彼はそこまでしてステージに立ち続けるのだろうか。
「一言で言えば、若い選手に負けねーぞ!という気持ち。SBC千葉大会のDENIM部門では、出場選手が少なかったのもありますが3位でした。自分より30歳近く若い選手にも勝てたので、自信になりましたね」
坂部さんの職業はモデル。現在もたびたびオーディションに参加する現役であり、それが戦いの場としてSBCやBBJを選ぶ理由にもなっているという。
「モデルをやっている手前、じつは筋肉をあまり大きくできないんですよ。ボディビルダーみたいな体になったら、衣装が着られなくなって仕事がなくなってしまうので。だから目指すのは、いわゆる細マッチョ。そういう体が評価されるカテゴリーがあるコンテストが自分には合っているんです。それぞれの体や事情に合ったコンテストを選べるようになってきているのは、良いことですよね。でも本当は、腕ももっと太くしたいし、胸の厚みももっと欲しいんですけどね(笑)」
目下の目標は、今年中に地方大会で優勝を手に入れること。「10歳以上も若い選手が出る中で古希のジジイには簡単じゃないけどね」と笑う一方で、「今も自分は進化中。去年よりも今のほうが絶対にいい体をしているし、千葉大会から比べても数週間経った今のほうがいい。人間、この年でも進化するんだから、60歳の爺さんが『今さら……』とか言ってる場合じゃないんですよ」と、自信ものぞかせている。
70歳を迎える今年、坂部さんは何を目指し、何を目的に生きていくのか。その答えは、非常にシンプルだ。
「とにかく元気に、それしかないですよ。もっとお金を稼いでやろうとか、そんなのはもういい。ジムの会費が払えて、大会にエントリーできて、波乗りができて、おいしいご飯が食べられれば十分。ただね、若い人に言うとすれば、自分は健康だと過信しないほうがいいし、ある程度の体力づくりはしておいたほうがいいと思います。自分がギラン・バレー症候群になってから復活できたのも、運動をしていて回復力があったからこそ。全員がジムに行けとは言わないけど、体を動かして太陽にあたっておけば長生きできるんじゃないかな、自分はそうだったので(笑)」
健康に、長く、楽しく生きる。生き延びるのではなく、強く生きていく。その中で一つの目標やモチベーションとしてコンテストへの挑戦を続ける坂部さんの姿は、誰かの生きる道しるべになるはずだ。
文・写真/木村雄大
取材協力/Sure Gym 八街店