佐久間編集長のパーソナルトレーナー百人斬られ(仮)Vol.31 衣笠慎一 後編




VITUP!編集長・佐久間が全国のパーソナルトレーナーさんを巡っていく「パーソナルトレーナー百人斬られ(仮)」。今回は衣笠慎一トレーナーの後編。ピラティスを用いた骨の配列を意識したトレーニングを行ないました。

今回のテーマは「骨配列」を意識したトレーニングということで、まずは骨盤の高さをチェックします。

左が少し高くなっているため、右から押す力にはつっかえ棒がある状態なので強いのに対して、左から押す力にはもろい状態です。この状態のままスクワットをやると、体が流れて変に負荷がかかったり、あるいは鼠径部の詰まりにつながったりします。そこでまずは骨盤の高さを揃える調整をします。

 

骨盤と大腿骨の距離を縮めるため、左の骨盤を大腿骨に近づけるように体を傾けます。右脚を上げることが目的ではなく、骨盤を左に傾けることが目的となります。

続いてはランジでバランスをチェック。右足を踏み込んだときにヒザが内側に入りやすいという問題がありました。

これは骨盤の問題ではなく、胸郭のチェックです。肋骨が傾いているとヒザが入りやすくなってしまうとのこと。左側の肋骨が開いているため、右手を頭に乗せて右も同じように開くようにしてランジをします。

続いては背骨の動きに入っていきます。四つ這いの姿勢から背中を引き上げるときは頭をだらーんと下ろし、背中を落としていくときは頭を上げます。常に背骨の延長線上に頭があるように動かします。

最初はタテの動きのみで背骨を動かし、続いてはナナメの動きを入れます。背骨の動きに頭がついてくるように動かします。普段は背骨を意識して動かすことがないので、地味ながらかなり難しい動きです。

背骨まわりに続いては股関節を動かしていきます。仰向けに寝て仙骨からお尻を上げて、右足を組んで右の骨盤を下げるという動きです(反対も行なう)。この場合、右の股関節が動いているように見えて、実際は軸になる左側の股関節を回しています。

続いては足を骨盤幅にして左右に倒します。これも骨盤の動きで、右の股関節が硬いことを指摘されました。

右の股関節の動きを改善するため、前脛骨筋をほぐします。ここの筋肉がカッチカチなので、ほぐすと痛みがあります。

前脛骨筋は足の指に力が入っていったり、足首の方向がズレていたりすると、スネの張りが強くなるそうです。前脛骨筋をほぐしてから同じ動きをすると、柔軟性が改善され、動きがスムーズになっているのがわかります。

続いてはヒザ立ちでの動きに入っていきます。「普通に立っているときはヒザから下も動きますが、ヒザ立ちになると股関節で動くことになります。それにプラス、お尻やハムストリング、背中の力が入りやすくなります」(衣笠さん)

鼠径部に手を当てておじぎをするように体を倒していきます。

簡単そうに見えて難しい! 体を支えることができず、前に倒れてしまうので、衣笠さんからアドバイスを受けます。

 

「頭が下がる、つまりアゴを引くと頸反射が起きて大腿四頭筋の根本、パテラにスイッチが入ってしまいます。なので頭は下げずに背骨の延長線上に頭があるようにして体を倒してください」(衣笠さん)

言われた通りにやってみると、お尻とハムストリングにしっかり力が入って、体を支えることができます。頭ではなく、おへそを下に向けるのがポイントです。レベルアップバージョンとしてバンドを手首に挟んで、開きながら前に倒していきます。こうすると広背筋にも力が入ります。

今度は恥骨筋を柔らかくする動きをしています。足を広げて手を前につき、お尻を後ろに引いて前に戻します。骨盤を滑らすようなイメージで動かします。

さらにナナメに動かすバリエーションも行ないました。捻転動作が必要なスポーツは骨盤の動きが大事であり、それには恥骨筋の柔軟性も大事だと言います。

 

背骨、股関節を整えたところでランジを行ない、バランスをチェック。最初よりも体のバランスが改善され、安定性が出てきました。

骨盤の安定性が出てきたところでトレーニングです。体幹トレーニングの定番プランクを行ないます。

「手に力が入って背中が丸くなってしまっています。主に腹直筋で体を支えている感じですが、腹直筋が締まると体幹の代名詞である腹横筋は緩んでしまいます。なので手のひらはだらーんとして、お腹は伸ばすイメージでやってみましょう」(衣笠さん)

フォームを修正してプランク。さらに体幹は手足を動かすためにあるものなので、スポーツへの実用性を高めるため、今度はプランクに足の動きを加えます。

というわけで、今回のトレーニングはここまで。骨盤、股関節、背骨と、一つひとつ体のパーツがチューニングされていくような感覚でした。

 

「股関節や背骨の動きが良くなると、その後のトレーニングの効果が変わってきます。動く前に意識してほしいのは姿勢です。立っている状態でニーインになっていたり、猫背になっていたりすると、運動でも必ずそうなってしまうので、注意して運動をしましょう」(衣笠さん)

 

安定性を整えるというのはとても大事ですね。体がすっきりした気がします。衣笠さん、どうもありがとうございました。

【トレーナーPROFILE】
衣笠慎一(きぬがさ・しんいち)
スタジオインストラクターを経て、パーソナルトレーナーに転身。背骨の動きに特化したピラティス、姿勢&動作改善、体幹トレーニング、ゴルフスイングの向上を専門分野とする。骨の配置に着目し、老若男女問わず、ピラティスを用いた運動指導をしている。

 

【店舗情報】
パーソナルトレーニング「at ease」
住所:尼崎市尾浜町3-31-13
営業時間:月~土 10:00~22:00 日・祝 10:00~20:00 ※年中無休(年末年始・夏季休暇を除く)
パーソナル料金=8,000円(60分)
※詳しくはHP参照

 

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。