佐久間編集長のパーソナルトレーナー百人斬られ(仮)Vol.33 江見亮輔 後編




VITUP!編集長・佐久間が全国のパーソナルトレーナーさんを巡っていく「パーソナルトレーナー百人斬られ(仮)」。今回は江見亮輔トレーナーの後編、トレーニング編です。下は小学1年生から上は70代まで幅広く、トレーニング指導をしている江見さんに、体をチェックしながら機能改善のポイントを教わりました。

江見亮輔トレーナーは「畳一畳でもトレーニングはできます」と言います。今回は体の動きをチェックするところから始め、問題点を改善していきます。

 

最初のチェックは両手をバンザイ。前から真上まで上げて、真っすぐ下ろす動作を繰り返します。おじさんになると、肩が上がりづらくなるのは、誰もが実感しているところでしょう。

「後ろからと横からとチェックしました。佐久間さんの場合は手の位置が真上より手前で止まっているので、広背筋など腕を上げるときに邪魔をしている筋肉がいくつかあるなと考えられます」(江見さん)

 

続いては横から上に手を上げます。これも上げ下げを繰り返します。

「左右差はそれほどないと思います。ただ、手が顔の前にくることがあるので、背中の筋肉が肩の動きを邪魔しています」(江見さん)

 

まだまだ上半身のチェックは続きます。今度は前ならえをして腕を内旋させて手の甲をつけます。さらにそこから横に腕を広げます。

腕を内旋するときに肩が上がってしまう。また開くときは肩だけの動きになって胸郭から開いていないという動作の特徴がわかります。こうした動きのチェックから「背中の硬さ、胸の硬さを改善するトレーニングが必要だということがわかります」と江見さん。

 

続いては前屈、後屈、上で手を組んで左右に体を倒します。

「後屈はお尻が伸展できず、腰痛のリスクが高い人も多くいます。佐久間さんの場合は胸が硬くて反れない傾向があります。手を組んで左右に倒すとき、倒しづらい方向があるかをチェックします」(江見さん)

 

下半身の動きのチェックに入っていきます。腕を胸の前で組んで片足立ちになって、脚を内回し、外回しを行ないます(左右両方)。

「股関節の動かし方自体はそれほど問題ないと思います。ただ、止めるほうの動きを調整していけたらと思います」

 

今度は腹筋でお腹の力を使えているかのチェック。まずは普通に腹筋を行ないます。

続いて手を前に伸ばして5秒間時間をかけながらゆっくりと起き上がって、同じく5秒間かけてゆっくり下りる腹筋。これはかなり無理があります。

「最初の腹筋は反動を使っているということです。スポーツは反動を使いながら動くのでそれでいいんです。ただ、腹直筋だけにフォーカスした場合、しっかり使えていなかったということです」(江見さん)

 

同じようにひねりの腹筋。多くの場合、体を起こしてからひねるという動作になりがちですが、そうではなく、最初からひねった状態で上げていきます。これも無理ですね。

「ひねりは主に腹斜筋になります。もちろん、体を起こしてからひねっても間違いではないのですが、体の機能として最初からひねった状態でいきたい。力まないことと反動をつけないことを意識して行なえば、1~2週間でできるようになると思います」(江見さん)

 

スロー腹筋がんばります。

 

再び、立ち上がって、肩回りのチェック。前ならえから手のひらを上に向けて、下に向けてを繰り返します。このとき、親指、人差し指、中指の3本に力が入りやすくなっているため、ワキが空いてしまいます。

 

右手はどうしてもペンを持って親指から3本に力を入れる習慣があるため、力が入りがち。これは肩こりにつながります。腕橈骨筋をほぐすことで張りをとることができ、また、小指と薬指に力を入れるようにすると、改善ができます。

いろいろと体の問題点がわかったので、ここからは改善をしていきます。まずは胸まわりの硬さの改善から。横向きに寝て、脚は曲げて床につけたまま、手を前に伸ばして上の手を反対側に開いていきます。このとき、胸が硬いと代償動作で肩が痛く感じたり、背中が痛く感じたりすることがあります。

レベルアップ編としては足を前後にズラして広げていきます。骨盤を正対させたまま、胸が45度くらいまで広がるのが理想。グリッドに手を入れて重みを感じながら開いていくのもOK。

続いてはお尻、腰のストレッチです。脚を伸ばして仰向けに寝て、左脚を曲げて右側へ。顔は左を向いておきます(左右両方行なう)。

「こういうストレッチのときも下半身にフォーカスするだけでなく、胸郭、肺に空気を入れることを意識して行なうとより良いでしょう」(江見さん)

 

実際に左右両方行なうと、やりやすさの違いがあり、どちらが硬いといったことを自分で認識できます。江見さんいわく、「どこが硬い、どこが動かしづらいというのをご自身で体感してもらうことはとても大事です」とのこと。

 

まだまだ機能改善は続きます。仰向けに寝て足首を90度曲げてヒザは曲げずに脚を真上に上げます。この体勢をキープしたまま、ゆっくり左右に倒します。

 

これも左右のやりやすさに違いがあります。私の場合は右に倒すほうが苦手でした。

 

今度は四つ這い姿勢になります。両手は両肩の下、両脚は骨盤の下にして、ヒザを5cm浮かせるだけで体幹トレーニングになります。

この姿勢から片脚ずつ、後ろに蹴って伸ばします。かかと、ヒザ、お尻、頭のラインが一直線になるように、伸ばして、戻しての動作を繰り返します。姿勢を維持するために手に力が入りすぎるのはNG。バランスが崩れてきたら回数は関係なく、一度動作を止めること。

同じく四つ這いでヒザを曲げたまま、横に上げていきます。

股関節の動きが悪いので、股関節の動きを良くするストレッチへ。ヒザを開いてかかととかかとの間にお尻を落としていくように動かします。

股関節のストレッチをしてから、先ほどの四つ這い姿勢から脚を外に上げる動作を行なうと、最初よりもかなりスムーズになりました。

ここまでの動きを見て、私は柔軟性よりも止める動きのほうに問題がある場合が多いということが見えてきました。というわけで、止める力にスイッチを入れるためお尻のトレーニングです。

体が一直線になるように横向きに寝て、上側の脚を上げます。このとき、Tシャツにシワが寄らない程度でOK。脚を上げすぎるとお尻のトレーニングではなく、脚のトレーニングになってしまいます。さらにつま先を動かしながら脚を上下させると、中殿筋、内転筋に刺激が入ります。お尻に刺激を入れてから、股関節まわしを行なうと、最初よりも安定感が増していました。

「今日はチェックと簡単な機能改善をやらせてもらいました。同世代の方と比べて筋力はあるほうだと思いますし、柔軟性も悪くないと思います。今回やったような細かいトレーニングをしていくと、もっと体が動かしやすくなっていくと思います」(江見さん)

 

というわけで今回はここまで。体の動きづらい箇所や筋肉の硬い箇所がわかり、修正ポイントも理解できました。江見さん、どうもありがとうございました。

取材協力=THE PERSON

 

【トレーナーPROFILE】
江見亮輔(えみ・りょうすけ)
1988年8月18日、京都府出身。中学から大学まで野球に励む。びわこ成蹊スポーツ大学4年時には選手兼トレーナーとして活動。大学院在学中に鍼灸学校に通い、鍼灸師の資格を取得。大学勤務、パーソナルジム勤務を経て、現在は大津Likeパーソナルジムの店長を務めつつ、スポーツ団体での指導にも取り組む。
〈所有資格〉
日本スポーツ協会アスレチックトレーナー/NSCA CSCS(認定ストレングス&コンディショニングスペシャリスト)/鍼灸師/臨床栄養医学指導士

【店舗情報】
大津Likeパーソナルジム
住所:滋賀県大津市二本松1 ブランチ大津京Community Park2階
営業時間:9:00~21:00(不定休)
〈料金〉
パーソナルトレーニング50分=8,000円
鍼灸治療50分=10,000円
※その他、ジムのトレーナーのパーソナル料金など詳しくはHP参照。

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。