「体を変えていく」ことがボディビルの本質。令和の怪物・相澤隼人の「今」と「未来」




日本人は海外選手にも負けていない

――相澤選手は今までJBBFの大会で連覇を続けてきています。JBBFに挑み続ける思いやこだわりのようなものはあるのでしょうか。

「ひとつは、本当にアンチドーピングという部分が大きいなと思います。徹底していますし、そこは本当に念を押して言えるところだと思います。あとはもともと出ていた大会がJBBFだったというのも大きいですね」

――ドーピング検査の有無については、かなり重視されているのですね。

「そうですね。ボディビルの本質は体を変えること。その中で大切なのは過程であって、体が変わることは結果だと思っています。体が変わる過程を考えながら取り組んで、それでうまくいく時といかない時があると思います。ドーピングを使うと体は確実に変わりますが、過程が全然わからなくなってしまいますよね。それはボディビルの純粋な楽しさと比べると、僕は違うんじゃないかなと思います。少なくとも僕はやらないし、自分の周りでやりたいという人がいたら絶対にやめさせますね」

――現在24歳ですが、プロ意識を感じさせる意見をはっきり発言されていて感服してしまいます。ステージでもそうですが、『堂々としている』という印象が強いです。

「ステージは練習してのものなので、演出ですよ(笑)。話すということに関しては、セミナーで場数を踏んだりとか‥…あとはまわりの人の環境がよかったかもしれないですね。日本体育大学でもお世話になっていた、バズーカ岡田先生はいろいろな面でお手本です」

――その岡田先生ですが、昨年11月にWNBF(World Natural Bodybuilding Federation)の大会で世界一になりました。

「すごいなと率直に思いました。大学教授をしながら競技をして、いろいろなビジネスをやって、ちょっと頭が上がらないなという感じですね。実績もそうですし、ボディビルと仕事や家庭を両立している生き様に憧れます」

あこがれの存在であるバズーカ岡田先生

――厳格なドーピング検査が実施されているナチュラルな団体で、日本人が外国人選手に勝って優勝したという点ではいかがでしょうか。

「日本人ってすごいんだなとあらためて思いました。海外選手と比べて骨格的な不利を指摘されることもありますけど、緻密な全身のバランスやカットなどの細部は負けていないと思います。とくに岡田先生は研究者なので、しっかりとしたトレーニング理論を持ちつつ脳みそのネジを外したような強度のトレーニングをしているので、そこがまたいいんじゃないかなと思いました」

――2024年は日本選手権で4連覇がかかりますが、目標についてはどのようにお考えでしょうか。

「一番は楽しむことです。連覇のプレッシャーについては、2023年でそれがなくなりはじめました。今は連覇よりも、自分の体を変えることを大事にしたいです。体が変わって負けたらその時はその時で悔しいんでしょうけど、『長い目で見たらそういう時もあるのかな』と考えられるようになりました。2024年は何よりも楽しくボディビルができればと思います。昨日よりも今日ですし、先週よりも今週、先月よりも今月という形で成長していきたいです」

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