「脚やお尻は見るのも嫌だった」筋トレで生まれ変わった24歳ビキニホープ。新年も最大パワーで駆け抜ける




成長著しい24歳が飛躍の予兆を見せている。ビキニフィットネスのトップ戦線で戦う小倉あれず選手は2021年から競技を始めた新進気鋭の若手だ。国内、国外と着実に成績を上げた2023年を振り返り、ビキニ界のホープはどのようなことを思うのだろうか。小倉選手を直撃し、率直な胸の内を聞いた。

【フォト集】小倉選手が準優勝をはたしたオールジャパン・フィットネス・チャンピオンシップス

2023年はターニングポイント

――今年はグラチャンで3位入賞、アーノルド・クラシック・ヨーロッパで4位入賞と、大活躍の1年でしたね。

「2023年はすごく自分の記憶に残る、人生が変わったターニングポイントだったかなと思います。国際大会に出るというのが競技を始めた時からの目標だったので、アーノルドに出られたことがまずうれしかったんですけど、国際大会に出たらきっと評価していただけるという自信もありました。実際に評価していただいたので、2024年の目標に向かっていい一歩が踏み出せたなと思います」

――国際大会での自信はどこからくるものだったんですか。

「私は比較的手足が長かったりと骨格的に恵まれている体で、体づくりやポージングも国際大会にマッチするようなことをメインにやってきたので、大丈夫だろうと思いながら楽しんでやりました」

――国内とは評価されるポイントが違うということですか。

「そうですね。基本的には変わらないですけど、日本の大会は骨格的にちょっと違うと評価されづらいという部分があるので、なるべく日本人の骨格に寄せたポージングをやっていました。国際大会の場合は自分のやりたいようにできるという感じだったので、楽しかったです。それこそグラチャンとかは私よりはるかに身長が高い方が多いんですけど、脚の長さや腰の位置は変わらないことも多くて。でも、アーノルドは私と同じくらいの身長で同じくらいの腰の高さという方が多かったので、思ったようにポージングしたらそれも活きるだろうと思っていました。ビキニの色も、日本だと赤や青の系統が多いのでそこに合わせるような感じで選んでいたんですけど、国際大会は好きな色を着ている方が多いんですよね。国内と海外はトータル的に少し違うのかなという印象でした」

階級無差別のGRAND CHAMPIONSHIPSでも3位入賞をはたした

――2023年のグラチャンは3位入賞と、前回からジャンプアップをはたしました。

「悔しい気持ちも少しあったんですけど、今の自分の120%の体で出られたので後悔はないですね。悔しさというよりは楽しかったなという大会でした」

――アーノルドクラシックの4位は日本人最高成績でした。

「国際大会は初めてでしたし、グラチャンが終わった2日後にアーノルドに出発ということで、調整が大変でした。オールジャパンは優勝を目指していたので準優勝に終わってすごく悔しかったんですけど、グラチャンやアーノルドで一番の結果を出したら実質、日本1位だなと思っていたので希望に満ちていました。オールジャパンからは2kgくらい絞りましたね」

――国際大会で通用した点と、逆に見つかった課題はどんな部分ですか。

「上半身とポージングと筋肉の丸さはすごくよかったんじゃないかなと思います。課題だなと思ったのは下半身ですね。ボリュームというよりかは、筋肉の密度だったり太もものハード感がもう少しあったらよかったんじゃないかなと思ったので、来年は丸みを残したまま絞った時のカットだったり仕上がりをよくしていきたいなと思いました」

――競技を始める前は脚の太さがコンプレックスだったり、拒食症で悩んでいたということでしたが、現在は活き活きしているように見受けられます。フィットネスを通じた自身の変化をどのように感じていますか。

「今までコンプレックスだった場所が好きになりましたし、むしろ太くしたいと思うようになりました。以前は鏡を見るのも嫌だった脚やお尻も、今は体のラインが見えるような服を着たりもします。食べることも怖くなくなりましたね。パーソナルトレーナーをやり始めて自分が指導に回るほうに立った時、生徒さんには『食べてください』と言っています。自分が同じ経験をしたからこそ言えるので、トレーナーをやっていてよかったなと思います」

――最後に、選手としての今後の目標を教えてください。

「最終的には世界一になりたいです。2024年はIFBB世界選手権が日本で開催されますし、まずは出場資格がないと出られないので、出場した一つひとつの大会でしっかり勝ちにいきたいなと思っています。最高のコンディションで出られるように、オフシーズンから自分の悪いところの改善などをしっかりやっていきたいなと思っています」

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小倉あれず(おぐら・あれず)
1997年6月14日生まれ、栃木県出身。歯科衛生士として勤務しつつ、女性の鍛え上げた肉体美を競うビキニフィットネスに参戦する若手のホープ。2022年にはJBBF(日本ボディビル・フィットネス連盟)主催の『オールジャパン・フィットネス・チャンピオンシップス』ビキニフィットネス158cm以下級で3位、階級無差別の『フィットネス・ジャパン・グランド・チャンピオンシップス』では7位の成績を残した。2023年は大きく飛躍し、オールジャパン選手権で2位、グラチャンでは3位に駆け上がったほか、スペインで開催された国際大会『アーノルド・クラシック・ヨーロッパ2023』ではビキニフィットネス158cm以下級で日本人最高位の4位に輝いた。

取材・文/森本雄大
写真/木村雄大