前回は「発達したヒップは人間らしさの象徴」と書きました。お尻はプロポーションの美しさを表現する要素であると同時に、元気よく歩き続けるためにも重要な筋肉です。そこで今回は、具体的なお尻のトレーニングについて説明してみたいと思います。
まず下半身の筋肉をつける最もベーシックな種目であるスクワット。お尻の強化に重点を置く場合は、オーソドックスなスタイルよりも少しお尻を後ろに突き出すようにすると効果的です。
さらに、大殿筋に刺激を加えるには、脚を後方に伸ばすヒップエクステンション系の種目を取り入れるといいでしょう。
また、脚をサイドに開くレッグアブダクションは、中殿筋・小殿筋まわりを鍛えることができます。これらの種目でお尻の上部に筋量をつけていくようにすると、綺麗なヒップアップができると思います。
ただし、大殿筋をあまり使わずにアブダクション系の種目ばかり行なっていると、四角い形のお尻になってしまう可能性があるので注意しましょう。全体に張りとボリュームがあり、丸みのある形にするには、ヒップエクステンション系の種目をたくさん行なうことがポイントです。
仰向けになってお尻を上げるヒップリフト、バーベルを使ったヒップスラストなども効果的です。ヒップリフトは筋力がついてきたら片脚ずつ行なってもいいでしょう。ヒップスラストは大殿筋に対して持続的かつ全面的な負荷をかけやすく、脚の力も使ってバーベルをコントロールしやすいので、トレーニングに慣れていない女性でも取り組みやすいと思います。また、負荷を持ち上げながらお尻に意識を持っていきやすいので、比較的早く効果が出ることが期待されます。
ただ、ヒップスラストのような種目は足の置き位置や関節角度などによって持ち上げられる重さが変わってくるので、筋肥大のためのスタンダードとされる80%1RM(1回上げられる重さの80%)といった負荷の設定が困難だと思います。
ですから負荷の設定にはそれほど執着せず、「お尻に効いている」という感覚を大事にすればいいと思います。トレーニングによってお尻の筋肉が追い込まれた、お尻に鉛が入っているような感覚がある、といった状態(昔ながらの言い方をすると「ケツが割れる」という状態)になることを目指せば、おのずと結果はついてくるでしょう。