「ドリームガールズ杯」誕生で期待される女子相撲の未来 世界大会金メダルの山中未久に聞く




2/11(日)、宮城野親方(第69代横綱白鵬)が応援サポーターを務め、女子相撲の発展と普及への願いが込められた大会『第1回ドリームガールズ杯女子相撲大会』が東京・すみだフットサルアリーナにて開催された。全国の小学1年生から高校3年生までの女子を対象とした同大会において、運営の立場から大会を支えたのが、全日本大会を何度も制覇し、世界大会で金メダルも獲得した山中未久さんだ。女子相撲の第一線を走ってきた山中さんに大会開催や業界発展への思いを聞いた。

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――第1回ドリームガールズ杯が開催されたことについて、率直な思いをお聞かせください。

「白鵬杯という男子の大会はもう第14回目を迎えているんですけど、今まで女子の全国大会はありませんでした。何年か前に当時の白鵬関(現・宮城野親方)にお会いした時『いつか女子の白鵬杯もやってあげたい』というお話を伺っていました。それで今回、ドリームガールズ杯を開催することになったと聞いた時は、本当に親方の思いを感じました」

――女子相撲の第一線を走ってきた山中さんにとって感慨深いものもあったと思います。

「そうですね。本当にいろいろな方々の協力があって大会を開催できたんですけど、前日から力士の方々がお手伝いに来てくださったりとか、プロとアマ、男子と女子とかそういった垣根を超えて、相撲というひとつの競技として一体感が出てきていると感じました。女子相撲も本当に発展と普及が形になってきているんだなと思いました」

――山中さんが現役時代の女子相撲の環境とは?

「幼少期は地域のわんぱく相撲大会などでも男子選手の中にひとり混じって出場したり、小学4年生以上から全日本大会があるんですけど、それも年に1回しかなかったので、女子選手は年に1回のその大会に向けて日々稽古している感じでした。このようにいろいろな方々の支援を受けて、女子だけの全国大会が開催される日がくるとは思ってもいませんでした」

――山中さんは現在、指導者も務めています。学生たちに伝えたいことはありますか。

「勝敗はもちろん大事ですけど、試合の時だけではなくて後につなげることを考えてもらえたらうれしいです。勝負事なので、見た方が怖い・痛そうといったイメージを持たれることもあるかと思うのですが、所作や武士道精神、スポーツマンシップを持った取り組みを見てもらうことでそれが変わることもあると思います。また、言葉にするのは難しいですが、女子選手ならではの泥臭さだけではない部分も見せていけるといいですね。そういった気持ちを選手たちが持っていると、より業界の発展にもつながるんじゃないかなと思います」

――最後に女子相撲の発展について一言いただけますか。

「私が幼い頃は、柔道やレスリングをやっている子が女子相撲の試合に出てくることが多かったんですけど、今は本当に小さい頃から相撲の稽古を積んで出てくる選手が多くて『女子相撲ってここまで来たんだ』と感じました。ただ、社会人になって続けられる環境がなくて部活動だけで終わってしまう。競技者をやめないといけない状況になってしまうというのが現状なので、私自身も少しでも道をつくっていけるようにしたいです。後輩たちが少しでも相撲競技者としてもそうですし、ゆくゆくは指導者として育っていければもっと女子相撲が発展してくんじゃないかなと思います。そういう道をつくっていきたいですね」

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