管理栄養士の山田賢児さんが、食にまつわる疑問を解決する本連載。今回は、多くの人が悩む「昼食後の眠気」についてです。

昼ご飯を食べた後、急激に眠くなって仕事に集中できなくなった経験はないでしょうか。眠気が嫌で昼食を抜いてしまう人もいるかもしれませんが、私はあまりおすすめしません。
昼食後の眠気には、体内リズムや睡眠不足、昼食の量や内容などさまざまな要因が関係していると考えられます。
その一つとして考えられている食後の血糖値の変動ですが、「血糖値が急激に上がり、その後下がるから眠くなる」と単純に言い切れるほど、眠気と血糖値の関係が明らかになってはいないようです。
とはいえ、ご飯や麺類などで炭水化物を一度に多く摂ると、食後血糖値は上がりやすくなります。昼食後の眠気が強く、丼ものやラーメンなどの主食を中心としている人であれば、まず主食の量を調整して眠気がどう変わるか試してみるのも一つでしょう。
私が運営するY personal training gymでも相談されることがあり、ランチ後の眠気を抑えて仕事のパフォーマンスを優先したいのであれば、「ご飯少なめ」「おにぎりなら1個」など、炭水化物の摂取量を調整すると同時に、「野菜、肉、魚、卵、大豆」などのおかずを組み合わせることをおおすすめしています。
食後に少し歩くだけでも変わる
近年は「食べる順番」に関してさまざまな考え方がありますが、私は「野菜や肉、魚、卵、大豆など」のおかずを先に食べ、その後にご飯や麺類を食べることで、血糖値の上昇は比較的穏やかになると考えています。
またよく噛み、ゆっくり食べることで、満腹感が増し、少ない食事量でも満足感が得やすいことから、食べ過ぎを防ぎやすくなります。炭水化物を含む主食の量も調整しやすくなりますから、食後血糖値の上昇を穏やかにするという点でも、「よく噛んで食べる」ということで食後の眠気に変化があるか試してみる価値があると考えています。
さらにおすすめしたいのが、食後に少し体を動かすことです。5〜10分程度歩いたり、階段を使ったりするだけでも構いません。食後すぐに活動すると、血糖値の上昇が穏やかになりやすくなります。眠気が気になる方は、食後に少し体を動かすことで変化があるか試してみるのも良いでしょう。
実際に私自身もCGM(持続グルコース測定)装置を使い、皮下のグルコース糖濃度を24時間、8週間にわたって測定しているのですが、食後すぐに徒歩や自転車で移動するなどの活動をしたほうが、食後に座ってゆっくりしている時よりも血糖値の上昇が穏やかになる傾向がありました。
もちろん個人差はあると思いますが、手軽にできる方法として試してみる価値はあるでしょう。
最後に、「昼食を抜けば眠くならないのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、私はおすすめしません。忙しさのあまり昼食を食べられず、チョコやクッキーなどのお菓子で凌ぎながら仕事をすることはあるかもしれませんね。しかし、昼食を抜くことが習慣になると、1日に必要とされるエネルギーや栄養素が不足しやすくなり、長期的な健康を損なう可能性も考えられます。
昼食後の眠気が気になる方は、まず食事を抜くのではなく、「よく噛んで食べながら炭水化物の量を調整する」「野菜やタンパク質をしっかり摂る」「食後に少し歩く」といった工夫を取り入れてみてはいかがでしょうか。
食べ方や食事内容、食後の行動を少し工夫するだけでも午後のパフォーマンスが変わってくるかもしれません。
