スティーブ・ジョブス、ビル・ゲイツをはじめとするIT界のレジェンドや、俳優ではアンジェリーナ・ジョリー、ミュージシャンではレディー・ガガ……と瞑想に親しむセレブリティは枚挙にいとまがない。
プロスポーツの世界ではマイケル・ジョーダン、ノバク・ジョコヴィッチ、長友佑都や長谷部誠など、やはり非常に多くのアスリートが瞑想を日常の一部としている。
マイケル・ジョーダンは、瞑想をしていたシカゴ・ブルズ監督フィル・ジャクソンの影響もあって、心理学者に瞑想の指導を受けていた。集中力が向上しただけでなく「俺が、俺が」ではなくなり、他人を思いやるようになった。リーダーとしての自覚が強くなり、チームメイトとのつながりを重視するようになったという。キャリアの後半、ジョーダンは恐ろしいほど勝負強かったが、瞑想の影響も少なからずあったと考えるが自然だろう。
元格闘家であり、現在は世界にファンを持つダンスパフォーマンス・ユニット『WORLD ORDER』のリーダー、そして拓殖大学レスリング部監督の須藤元気氏も瞑想を愛する一人。
筆者は以前、沖縄取材企画で須藤氏に同行したが、聖地とされる世界遺産の「斎場御嶽(せいふぁうたき)」に到着すると、彼はすぐに座って瞑想を始めた。その様子がとても自然で、瞑想が習慣として身についているのだなと感じた。彼のユニークなアイディアの数々は、ここから生まれているのかもしれない。
マインドフルネスは瞑想そのものではなく、本来の意味としては「今、この瞬間に自分の身体にどんな反応が起きているのか、感情や考えはどうか、善悪や好き嫌いの判断をせずにそのまま観察すること」だ。もっと簡単に云えば「自分を見つめること」だ。
自分を観察すると落ち着いた心身の状態が自然に訪れる。これをはるか昔から熟知していた東洋の賢人たちが、メソッドとして作り上げてきた。それが瞑想である。
最近では非常に多くの科学的研究も発表され、そのほとんどで瞑想の可能性がいかに大きいかが示されている。ストレスを軽くするため、つい食べすぎないようにするため、スマホ依存をやめるため…と目的はいろいろあっていい。
スポーツでいえば、まず自分の身体に気づけるようになることで、やみくもに頑張ればいいという考えにストップがかかる。頭で身体をコントロールするのではなく、身体の感覚にまかせた自然な動きが出てくるようになる。
こうなれば身体を動かすことがより楽しくなるだろう。そして気がついたら、これまで出来なかったことが出来るようになっているかもしれない。
身体だけではなく、心(脳)のトレーニングも行うのが、これからの常識となるだろう。
ただし、めざましい効果を追い求めすぎてはいけない。自分を静かに整える、その時間を味わえばいい。効果はあくまで後からついてくるものだ。
とにかく、少しずつ【マインドフルネス瞑想】を試してみよう。
この連載では、マインドフルネス瞑想のやり方や考え方を、わかりやすく紹介する。方法は様々なので、自分がやりやすく、続けられるものを選んでほしい。無理やりではなく、自然に自分を変えられる方法をゆっくりと身につける。心身のありように気づく習慣は、想像以上にあなたを成長させるはずだ。
文/押切伸一