「筋トレを始めたいが何からやっていいのかわからない」といった初心者の疑問から、マニアにも役立つ知識まで、骨格筋のエキスパートであるバズーカ岡田先生にきいてしまう連載企画。第6回は、ボディビルとダイエットの関係です。
A.ボディデザインしたいなら筋トレは必須です
やせる、脂肪を落とすというとランニングなどの有酸素運動を思い浮かべる人が多いと思います。確かに有酸素運動は脂肪をエネルギーとして使うので、除脂肪という点では有効です。ただ、どこの脂肪を落とすかを選ぶことはできませんし、筋肉をつけられるわけではないので、カラダをデザインするという意味では、ランニングなどの有酸素運動は十分ではありません。
やせるというのは、摂取カロリーより消費カロリーが多いときに、その差分でやせるわけですが、その分だけ脂肪が減るわけではありません。エネルギーが不足すると、人間のカラダは筋肉や内蔵、骨などもエネルギーに代えてしまうんです。有酸素運動は確かに脂肪を優先して使うことは確かですが、筋肉も落ちてしまうのです。
筋肉を残して脂肪だけ減らそうとする場合、カラダに「筋肉は必要なんだ」という信号を送る必要があります。ではどうやって信号を送るのかというと、筋肉を使うことです。有酸素運動と平行して筋トレも行うことが大事なのです。
また、日々の消費カロリーを増やすという意味でも筋トレを行うことは効果があります。例えば、1時間程度ランニングをしても消費カロリーは500kcalくらいですが、成人男性の1日の基礎代謝(何もしなくても生きているだけで消費するカロリー)は1500kcalくらいあります。基礎代謝量は筋肉が増えると増加しますから、筋トレをすることで“何もしなくてもやせやすいカラダ”を作ることができます。
もう1つ、これはあまり知られていないのですが、ハードな筋トレを行うと、トレーニングが終わったあとも数時間は代謝が高い状態が続くことがわかっています。筋トレをしている間だけでなく、終わったあともカロリーを“空焚き”しているような状態にカラダがなるんです。
ただ、注意しなければならないのは、筋トレ自体の消費カロリーは必ずしも高くはないということです。例えばジムに1時間いたとしても、インターバルを長く取りながらトレーニングをしていると、実際にカラダを動かしているのは10数分程度ということもあり得る。そうなると、消費カロリーは1時間のランニングよりもだいぶ少なくなってしまいます。時間当たりの消費カロリーを増やしたいなら、インターバルは1~2分程度にして、トレーニング間の休憩もあまり長く取らないほうがいいでしょう。
撮影/長谷川拓司
※本記事は、2017年に公開した記事に加筆・修正を加えたものとなります
岡田隆(おかだ・たかし)
1980年、愛知県出身。日本体育大学准教授。JOC強化スタッフ(柔道)、柔道全日本男子チーム体力強化部門長。日本体育大学大学院体育学科研究科修了。東京大学大学院総合文化研究科博士後期課程単位取得満期退学。自身もウエイトトレーニングの実践者として2014年にボディビルコンテストに初挑戦。デビュー戦となった東京オープン選手権大会70kg級で優勝を果たす。2016年には日本社会人選手権大会を制し、日本選手権大会にも出場。また、日本体育大学バーベルクラブの顧問を務めており、『第54回全日本学生ボディビル選手』(2019年)の団体優勝に導いた。権骨格筋評論家として「バズーカ岡田」の異名でテレビ、雑誌等多くのメディアで活躍中。『2週間で腹を割る!4分鬼筋トレ』(アチーブメント出版)『バズーカ式【超効率】肉体改造メソッド』(池田書店)など著書多数。
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