警視庁所属の柔道家・渡邉聖子選手は、体重無差別で日本一を争う「皇后盃 全日本女子柔道選手権大会」で初優勝を飾った。本来63kg級の渡邊選手は、決勝では自身よりも30kg以上重い選手に真っ向勝負の末に勝利。柔道女王の圧倒的なパワーの源に迫るインタビューの後編となる今回は、実際のトレーニングメニューを紹介してもらい、今後の目標を聞いた。
体幹強化にデッドリフトを重視
セット間も別メニューで強化
――現在のトレーニングメニューを教えてください。
渡邉 上半身の日と下半身の日が週に1回ずつです。どちらの日も最初のアップで体幹、腹筋にスイッチを入れるように、腹筋系のメニューを入れています(トレーニングメニューは別掲参照)。試合のたびにメニューは変わるのですが、現在はデッドリフトを重視していて、どちらの日にも取り入れています。


――デッドリフトは柔道に大事な体幹を意識して?
渡邉 そうです。ただ、上半身の日と下半身の日でデッドリフトも目的が違います。上半身の日は重さ重視で、120kgから始まってセットごとに重量を上げていって最後は155kgです。セットとセットの間にはアップといって、バランスボールやディスクを使った腹筋、ランドマインなどいろいろなメニューを入れています。
――セット間はメインで鍛えている部位を休ませつつ別部位を使っているのですね。
渡邉 そうです。下半身の日のデッドリフトとハイクリーンをセットにして瞬発力アップを狙いにしています。こちらは軽い重量でスピードを計測しながら速さを意識してやっています。

――デッドリフトはそれぞれ狙いを変えてやっていると。
渡邉 上半身の日は重さ、下半身の日は速さです。上半身の日はデッドリフトに続いてベンチプレスで、セット間のアップでプレートをつけた懸垂をやっています。今は最大27.5kgのプレートをつけて3回懸垂ができるようになりました。
――かなりハードなメニューですね。
渡邉 本当にきついけど持ち上げられる重量が増えていくと楽しいです(笑)。

世界王者を倒してロサンゼルスオリンピックへ
――ウエイトトレーニングで筋量が増えることによって、減量への影響はありませんか?
渡邉 私は63kg級ですが、元々61kgくらいしかなくて減量はしていませんでした。でも、鬼頭さんのトレーニングを受けるようになってから筋量がアップして2kg増えて、今はちょうど63kgくらいです。柔道は大会前日の公式計量に加えて、翌日にランダムで計量があって、その上限が5パーセントなので、63kg級の場合は66kgまでは増やすことができます。なので、ナチュラルな体重を66kgまで増やせたらなって考えています。
――まだまだ筋量アップして強化できるわけですね。着実に試合で結果が出ているので、この先、国際大会も含めて自分の力を試していくのが楽しみなのでは?
渡邉 楽しみです。少し前に昨年の世界選手権の57kg級で優勝したジョージアの選手と練習をしたのですが、フィジカル負けはなく、何度か投げることができたので、63kg級の外国人選手と戦うのも楽しみです。

――改めて今後の目標をお願いします。
渡邉 8月の国際大会で優勝して(※編集部注=8/14~16開催のグランプリ・リマで優勝)、世界ランキングを上げて、その後は警察の団体戦で優勝したいです。去年は決勝で負けているので、今年は優勝して監督を胴上げして、チームみんなと笑顔で写真を撮りたいです。11月には講道館杯(体重別の日本一を決める大会)があるので、優勝して12月のグランドスラム東京の出場権を取ることが大事です。グランドスラム東京に出れば世界チャンピオンの嘉重(春樺)選手と対戦できると思います。過去に3勝1敗と勝ち越していますし、直接対決では負けないと思っています。そこで勝って優勝してオリンピックにつなげたいです。
――嘉重選手は国際大会で連戦連勝の無敵の王者として独走していますが、オリンピックに出るためには倒さないといけない相手ですね。
渡邉 はい。嘉重選手は重心が低し、寝技が強いので、外国人選手では勝てないと思います。寝技の強さは脅威ですが、私もフィジカル、体幹の強さがアップして寝技の守りも強くなっている感覚があるので、しっかり相手の武器を抑えて、自分のフィジカルを生かして勝負したいです。
【上半身メニュー】
★アップ
ディスクシットアップ&ツイスト 3拍子 10回
フロントプランク片足挙げ(25kgプレートを乗せて)片足ずつ30秒
〔Menu01 デッドリフト〕
1セット目 120kg×3回
アップ① バランスボール・ロールアウト20回 ニーアップ20回
2セット目 135kg×3回
アップ② ディスククイックツイスト10秒セット(目標30回)
3セット目 145kg×3回
アップ③ ランドマインツイスト 20回
4セット目 155kg×3回
アップ④ サイド内転筋リフト
〔Menu02 ベンチプレス→5セット目からダンベルプレス〕
1セット目 60kg×10回→肩甲骨プッシュ5回→懸垂(20kg装着)3回
2セット目 70kg×5回→肩甲骨プッシュ5回→懸垂(25kg装着)3回
3セット目 75kg×3回→肩甲骨プッシュ5回→懸垂(27.5kg装着)3回
4セット目 80kg×5回→肩甲骨プッシュ5回→ベントアームプル80kg×6回
5セット目 17.5kg×10回→肩甲骨プッシュ5回→ベントアームプル90kg×6回
6セット目 17.5kg×10回→肩甲骨プッシュ5回→ベントアームプル100kg×6回
〔Menu03 D,SP,ジャック〕
17.5kgで左右5回ずつ×2セット
〔Menu04 ランドマインプレス&ツイスト〕
プレス→15kg左右各10回×2セット
ツイスト→20kg10回×2セット
〔Menu05 ダンベルカール&サイドレイズ〕
ダンベルカール2回&サイドレイズ1回(合計10回)×2セット
【下半身メニュー】
★アップ
ディスクシットアップ&ツイスト 3拍子 10回
フロントプランク片脚挙げ(25kgプレートを乗せて)片脚ずつ30秒
〔Menu01 Hexデッドリフト(0.75以上スピード)〕
1セット目 70kg×3回
2セット目 80kg×3回
3セット目 85kg×3回
4セット目 90kg×3回
〔Menu02 ハイクリーン〕
1セット目 70kg×3回
2セット目 75kg×3回
3セット目 80kg×3回
4セット目 85kg×3回
※デッドリフトとハイクリーンを連続して1セットとし4セット。1セット終了後に以下のメニューを行なう。
1セット目後→バランスボール・ロールアウト20回、ニーアップ20回
2セット目後→ディスククリックツイスト(目標30回)10秒3セット
3セット目後→ランドマインツイスト 20kg交互20回
4セット目後→サイト内転筋リフト 2.5kg挟み20秒・20秒
〔Menu03 リバースランジ〕
1セット目 100kg×左右10回ずつ→BOXジャンプ両脚3回
2セット目 110kg×左右8回ずつ→BOXジャンプ両脚3回
3セット目 120kg×左右6回ずつ→BOXジャンプツイスト片脚着地左右3回ずつ
4セット目 130kg×左右6回ずつ→BOXジャンプツイスト片脚着地左右3回ずつ
〔Menu04 H,SQ JUMP(1.0m/s以上スピード)&ウォーターバック・サイドジャンプ〕
1セット目 55kg×5回→WB.サイドジャンプ交互10回
2セット目 60kg×5回→WB.サイドジャンプ交互10回
〔Menu05 道着プル〕
10回×2セット
〔Menu06 ダンベルロウ〕
54kg10回×2セット
〔Menu07 ダンベルWプルオーバー〕
左12.5kg・右12.5kg10回×2セット
※Menu05~07は上半身種目の日にできない分を取り入れている


