学連理事長だけど本当は観客側で叫びたい!~久恒歩君(4年)②~【GKB応援団:東京大学B&W部編】




学生ボディビル、通称・学ボを盛り上げるべくスタートした連載「学ボ応援団(GKB応援団)」。前回に続き、東京大学運動会B&W部(ボディビル&ウェイトリフティング部)から登場するのは久恒歩君(4年)。今回は学連理事長の立場として話を聞きました。

自分の価値観にとらわれず
変えるべきところは変えていく

ちびめが 学連の理事長を務めているとのことですが、パワーリフティングではなく、全日本学生ボディビル連盟の理事長ということでしょうか?

久恒 はい、そうです。僕は関東学生ボディビル連盟と関東学生パワーリフティング連盟の理事長を務めさせていただいています。関西、中部、東北、北海道、九州と各地区にそれぞれ学生連盟があるのですが、ボディビルは全日本大会を関東でやるので、関東学連の理事長である僕がそのまま全日本学生ボディビル連盟の理事長も兼任しています。逆にパワーは関西で全日本大会を行なうので、関西学連の方に全日本学生パワーリフティング連盟の理事長を務めていただいております。

ちびめが なるほど。ここ数年は連盟所属校が増えたり、今年から学生フィジーク選手権がはじまったりするなど改革が進んでいる印象です。

久恒 僕は理事長になる前の1年間、関東学連で大会運営の手伝い等をさせていただいたのですが、その頃からいろいろと変えるべき部分があると感じていました。筋トレ人口が増えているなか、「学生ボディに出たい」「フィジークに出たい」という学生も増えてきていて、今年は全国で9校ほど新たにクラブが作られた大学もあります。そういった競技環境の急激な変化に合わせて、学生連盟や学生大会を変えていく必要があると感じています。

ちびめが 何から変えるべき、と考えていましたか?

久恒 去年の学生ボディでは会場が狭くて観客が入りきれず、多くの方々から厳しいお言葉をいただきました。大勢の方に来ていただき大会が盛り上がるのは嬉しいことですが、競技を取り巻く環境の変化に合わせて、まずは、大会の規模や運営方法を変えていかなければいけないなと実感しましたね。僕としては改革というほど大げさな気持ちはなくて、必要に応じて変えるべきところを変えているという意識です。

ちびめが 大会など、運営はすべて学生だけでやっていてすごいなと思っていますよ。

久恒 そう言っていただき、ありがとうございます。学生主体で運営しているとは言え、近年は日本ボディビル・フィットネス連盟(JBBF)とも積極的にやり取りをして、ご指導いただきながらやるようになりました。審査などはもちろん、学生だけでやるには限界がある部分も多いので、そこはしっかりとJBBFにご指導いただきながら進めています。同時に、学生主体の運営だからこそできる良さは失わないようにしたいと考えています。

ちびめが 学生だけの手作り感は、私としてはすごく面白いし、素晴らしいなと思って見ています。大人では考えられない勢いとか、工夫っていうのが出てくるので。

久恒 ただ、去年までの学生ボディでは、マニュアルの通りにやるだけになっているような面もありました。しかし去年の学生ボディの際に、そのやり方では、環境が変わってくると対応しきれないと痛感しました。それを踏まえて、選手の意見を重視し、学生同士みんなで協議しながら、変えるべき点は変えていくことが大切だと思っています。また、僕自身はボディビルの選手ではありませんが、選手やJBBFの方々などボディビルを分かっている方々の意見を伺うことで、ボディビルの競技者とそうでない者の両方の視点から考えることができます。自身がボディビル競技者でないことを逆に強みと捉えて、一方の価値観にとらわれることなく、学生大会をより良いものにすることができると考えています。

ちびめが 選手はもちろん、それ以外の視点も大切ですからね。

久恒 これまでは理事長1人がほぼ全ての業務をやっていたのですが、今年から大会規模が大きくなり業務内容が急増しているため、理事長だけが行う学連運営ではよくないと実感しています。そのため、財務部長や技術部長などの学連幹部や後輩と、うまく仕事を分担するように心掛けています。その方が僕が学連を退いた後も、学連運営がうまく続くと思いますので。また先ほど述べた、選手の意見も運営に取り入れるということで、フィジークの選手として活躍されている日体大の浅見優斗君などにも学連運営に協力していただいています。

プロではないがゆえの観客と一体となる
盛り上がりこそガクボの魅力

ちびめが 今年の学生大会が近づいてきましたが、準備は順調ですか?

久恒 まだまだ十分でないことがあるので、そこをなんとかしたいと思っています。具体的には、学連にはこれまでホームページもなく情報発信も不十分だったので、現在ホームページを整備しております。(※編集部注:取材は7月に実施。9/5に公式ホームページを公開)今年はそこを通して、学生ボディの情報をより多くの方にお伝えしたいと考えております。また大会会場に関して、去年は狭い会場での開催となり、多くの方々にご迷惑をお掛けしてしまったので、今年は福生市の1,000人ほど入る会場でやらせていただくことにしました。一方で、去年までは観戦無料にして選手の出場費だけで運営費用をまかなっておりましたが、規模の拡大に伴いそれだけでは採算が取れないので、今年から入場料をご協力いただく形にさせていただく予定です。

ちびめが そのぶん良い環境で観戦できますし、選手たちも喜ぶと思いますよ。

久恒 もちろん出場選手が増えて運営も大変になってきますが、今までの大会以上に選手たちが全力を出していただけるような環境を作っていこうと思っています。

ちびめが ちなみに、クラブに所属していない学生も出たいという声はありますか?

久恒 オープン参加の問い合わせはあります。ただ学生連盟は学生による運営ですので、加盟する各大学は学生大会出場の条件として、大会運営に協力することとなっています。そのため今すぐにオープン参加を認めるのは、運営上の観点から少し厳しいですね。しかし今後はオープン参加も認めていけるような運営体制にしていきたいなとは思っています。

ちびめが 大会が盛り上がれば、選手たちのモチベーションアップにもつながりますしね。

久恒 実際、大学のクラブに所属せずに1人でトレーニングをされている方も多いと思うんです。潜在的な選手人口は、まだまだ数倍はあるはずです。そういう方も全員参加できるようになったら、学生ボディビルはもちろんパワーリフティングももっと盛り上がっていくと思います。

ちびめが 最後に、学連理事長として、ガクボの魅力ってどこにあると思いますか?

久恒 限られた年数……というところですかね。相澤隼人君(日体大)のような人はちょっと特別ですけど、入学した時点では普通の学生であった子が、4年間の中でいかに成長したかっていうのがわかるのが面白いところだと思います。一般の全日本選手権とかになると上位は長年やってきている方々なので、僕のような素人の目には、学生ボディほどの成長は分からないと思います。しかし、学生ボディの場合は、「あの選手、去年より明らかに大きい!」とか、もちろん体もそうですし、ポージングなどの表現力も明らかに変わっていることを実感していただけると思います。フリーポーズも、学生であるがゆえの観客と一体となった盛り上がりとか、それも学生ボディの良さだと思います。

ちびめが いろんな人に見てもらいたいですね。

久恒 大学ごとに出るので、会場と選手の一体感もぜひ感じてほしいです。出ている選手には必ず会場に応援してくれるメンバーがいるので、その一体感は間違いなく魅力ですよね。型にとらわれないというか、あの熱気は運営する側からもすごいなと思っていて。本当のところは、僕も観客席側へ行って叫びたいです(笑)。

★次回はボディビル出場を目指す2人が登場!

インタビュー/ちびめが 写真/木村雄大