新型コロナウイルス感染拡大防止のため、ジムや大学が閉鎖されてきたここ数ヶ月。果たしてトレーニングに勤しみ、ボディビルやパワーリフティングでの躍進を目指す学生たちは、この活動自粛期間をどう過ごしてきたのか? 緊急事態宣言も解除となりに明るい話題も増えているなか、各大学の主将や中心メンバーにインタビューを実施。今回は早稲田大学バーベルクラブ主将の寺田光君(3年)に話を聞いた。
活動の根底にあるのは「トレーニングを楽しむ」
――ここ数ヶ月、クラブとしての活動も自粛を余儀なくされていたと思いますが、メンバー間のコミュニケーションはどのような形で取っていましたか?
寺田:部員が約50人いるので個別のやり取りが主となっています。ただ、それぞれがこの期間はどういうトレーニングをしているのか、ボディビルやパワーリフティングの大会に対してどういう気持ちでいるのを把握する必要があると思い、5月に全体に向けたアンケートを実施しました。
――その結果はいかがでしたか?
寺田:傾向としては、大会に出場する意思がある人が例年に比べて少ないということですね。あくまでアンケートなので深く話を聞くことはしていないのですが、トレーニングや減量に不安がある人が多いのかなという気はします。あと、これから就職活動がはじまる3年生は、こういう時期ということもあり、今年はインターンなどを行なって就活に力を入れる人が多いようですね。
――なかなか大変な年に主将になったと感じているのでは?
寺田:大変という気持ちはあまりありません。ただ主将になるにあたり、新たに取り組もうと意気込んでいたものの実践できなくなってしまったことが多いので、それがまず残念だなという気持ちです。泉(風雅)さんや長瀬(嘉剛)さんなど大会での実績ある先輩方が卒業し、仕切り直しというか、今年は新しいバーベルクラブの形を作っていく代だと思って同期と話し合いを重ねていたので。あとは、みんなで集まれないのが素直に寂しいなと感じています。
――具体的には、どういう改革を考えていたのですか?
寺田:メンバー同士が集まる機会を増やすことですが一番ですね。最低でも月に1回は集まって、コミュニケーションを取るようにしたいと思っていました。部室に来ることが少ないメンバーもいて、クラブに所属しているのに行きづらい、風通しがあまり良くないという点は改善したい、変えていかなければならないと思っていました。
――取り組んでいるのは個人競技だけど、クラブとしての一体感を出すために必要なことですね。
寺田:はい。僕たちは部活動ではなくあくまでサークルというのもあるので、ボディビルやパワーリフティング、あるいはトレーニングというものに縛られ過ぎず、みんなで楽しめる活動も増やしていこうと考えています。とはいえ、トレーニングをしない子がいるのは良くないので、あくまで活動の軸にはトレーニングや体作りというものがあって、それを囲むように楽しむ、という形にしたいです。
――寺田君個人としては、この自粛期間をどのように過ごしていましたか。
寺田:トレーニングに関しては、あまり細かく分割しないようにして、一部位に対するボリュームを抑えてほぼ全身のトレーニングを続けるようにしていました。外に出てウォーキングランジもしたりしていました。加圧トレーニングや自重トレーニングでも、筋肥大させることができたと思います。また、大学のスポーツ科学部に所属しているので、そこで勉強して学んだ知識がトレーニングに還元できるようになったり、勉強の面ではプラスに考えられることもあったと思います。
――前向きに考えられることもあったわけですね。
寺田:そうですね。あと、トレーニングを2週間ほど休んだ時期があったのですが、再開したらすごく動きやすくて。疲労感がない、体が強張っていないという状態というのはこんなにも動きやすいんだと感じられたのは、新たな発見でした。時には休むことも必要なんだと実感できました。
――大会の話になりますが、去年は全日本学生ボディビル選手権大会で団体3位。他大学の台頭もあり、負けられないという思いも強いのではないですか?
寺田:うーん……。今までは、団体での優勝に拘ってやってきたことも多いと思うのですが、あえてそこに拘る必要はないのではないかと僕たちは考えています。このバーベルクラブの活動の根底には「トレーニングを楽しむ」というところがあり、大会が全てではないと思うんです。トレーニングをするサークルではあるけど、大会で勝つことを目的にした団体ではないので。まずはトレーニングを楽しむ、あるいはトレーニングをする人を増やしていく。そういう思いでやっていこうと、幹部としての意思を固めていたところです。
――新入生に対しても、その思いは伝えていきたいですね。
寺田:現状は新入生の勧誘については動けていない状況ではあるのですが、バーベルクラブのSNSのアカウントにはDMでの問い合わせはそこそこあり、10人弱くらいは入部する意思を示してくれています。クラブの中には競技でひたすら結果を求める部員から、ただ純粋にトレーニングを趣味として行なう部員までいるのですが、みな根底にあるのはトレーニングが好きだという気持ちです。さまざまな考え方を持った人がいて意見交換もしやすいですし、いろんな人がおり気の合う人も必ずいると思うので、そういった新入生がたくさん入ってきてくれると嬉しいです。
取材・文/木村雄大
【早稲田大学バーベルクラブ SNSアカウント】
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