来年は弱点の脚を強化してより高みを目指す【関西学生ボディビル王者・宇佐美一歩インタビュー③:GKB応援団】




学生ボディビル、通称・学ボを盛り上げる連載「学ボ応援団(GKB応援団)」。今回は、昨年の関西学生ボディビル選手権で他を圧倒する強さで制覇し、全日本学生ボディビル選手権では4位に食い込んだ、宇佐美一歩君にインタビュー。最後は、今後の展望について。
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来年はジュニアと学生に照準を絞って

――現在は大学2年生ですが、今年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で学生生活も大きく変わったと思いますが、大変なことも多いのでは。

宇佐美 そうですね。4月になってからはもうオンライン授業になったので、今もずっと大学には行っていない状態です。大学ではウエイトトレーニング部に所属していて、本来であれば週に2回みんなで集まってトレーニングをすることにはなっているんですけど、今年はまったく活動できていない状態なんです。オンライン授業になって気持ち的には楽ですけど、やっぱりだらけてしまう部分は出てきてしまうので、その難しさはあるかと思います。

――なかなか集中を保つのが難しいですよね。

宇佐美 ただ学校行っていた時よりは時間にかなり余裕ができていたので、バイトの時間を増やしたり、もちろんトレーニングの時間に割いたり。そういう意味では、普通の学生生活を送っているときよりも、トレーニングや減量に集中できたのは良かったと思います。減量期でカロリーを落としていると身体のダルさもやはり出てくるので、学校に行くこと自体がシンドくなってくるので。

――阪南大の1年生として出場した昨年の「第54回全日本学生ボディビル選手権」では、いきなり4位に食い込むことができました。台風による延期など難しさもあったと思いますが、振り返っていかがですか。

宇佐美 当初の開催予定が台風の影響で延期になってしまい、出場を諦めて「食べよう」と思ったり、コンディションを崩してしまったりした人もたくさんいたんじゃないかと思います。ただ僕としては、日程が変更されても出場することに迷いはまったくなかったです。やっぱりこの1年間はそこを目指して頑張ってきて、その成果を披露する場なので、全国の舞台には絶対立ちたいと思っていました。

――関西学生大会を完全制覇しての全国の舞台となりましたが、どれくらいいけそうと思っていましたか。

宇佐美 関東の上位3人(相澤隼人/日体大、五味原領/日体大、長瀬嘉剛/早大)がいたじゃないですか。あの方々には敵わないだろうなというのは自分の中にありましたね。だから4位に入れたら満足だなと思っていましたし、そこなら入れると思っていました。

――残念ながら今年の大会は中止となっていましたが、もし開催されていたら、当然上位入賞を目指していたわけですよね。

宇佐美 相澤さんは変わらず健在ですが、2位の五味原さん、3位の長瀬さんはもう卒業しているということもあるので、目指しているのはやはり2位でしたね。相澤さんには……もう差がありすぎてあれだけかけ離れていると「勝ってやろう」という気もなかなか起きないです(笑)。

2019年の全日本学生ボディビル選手権では名だたる関東の猛者に続き4位入賞を果たした(右端が宇佐美)

――それでも、打倒・相澤隼人の筆頭候補として宇佐美君に期待する人は多いと思いますよ。

宇佐美 相澤さんの場合、もう筋量やポージングだけじゃないじゃないですか。生まれ持った骨格とか筋肉の形とか、そういうものを含めた凄さがあってのチャンピオンだと思うので、なかなか努力では届かない壁があると思ってしまいます。なので、僕は僕でやれることをやって、自分がベストだと思う状態に持っていくだけですね。

――そういう周囲の目や声というのは、プレッシャーになりませんか。

宇佐美 SNSなどでもいろいろな声をもいただけるようになりましたし、期待されているなというのは思いますけど、ただそれがプレッシャーになってステージングに表れるということはないですね。「マッスルゲート神戸」でも、ただただステージは楽しむことができました。2階級エントリーは少し体力的にキツかったなというのはありますけどね。

――今年は秋になって「マッスルゲート」が開催されるなど大会も再開されてきていますし、今年中止になった大会も来年は開催されるのではないかと思います。改めて、来年のプランを教えてください。

宇佐美 「マッスルゲート神戸」で結果を残せたこともあり、いろんな方に「大阪クラス別選手権に出てみたら?」とか、ジュニアや学生など年齢制限のない大会への出場について言われることもあるんですけど、そうなると大会が通常の年であれば5月とかになりますよね。やはり僕が一番の目標にしているのは学生選手権やジュニア選手権であって、おそらく開催は10月なので、そうなるとちょっと調整が難しいなと思います。それならば、10月の大会に絞って臨んでいこうと思っています。

――「マッスルゲート神戸」で見えた課題を来年に生かしたいですね。

宇佐美 そうですね。トレーニングの面で言えば、自分の弱点が「脚」なのはわかっているので、来年に向けてはそこを中心に鍛えていきたいと思います。

宇佐美一歩(うさみ・かずほ)
2000年7月29日生まれ。2018年、大阪市立汎愛高校在籍時に「第13回全国高校生ボディビル選手権大会」で優勝。阪南大学に進学し、2019年、「第55回関西学生ボディビル選手権大会」で各部位賞およびベストポーザー賞含めた完全優勝を達成。「第54回全日本学生ボディビル選手権」では4位入賞。2020年、「マッスルゲート神戸」のボディビル部門にてジュニア(23歳以下)級、65キロ以下級の2階級制覇を達成した。

取材・文・写真/木村雄大