一緒のジムにすごい人がいる【佐久間編集長コラム「週刊VITUP!」第142回】




VITUP!読者の皆様、こんにちは。日曜日のひととき、いかがお過ごしでしょうか? この1週間は季節が逆戻りしたような温かさでしたね。

 

さて、今週は私が通っているジムで見かけるすごい人の話を紹介しましょう。皆さんも経験があると思いますが、同じ時間帯にジムに通っていると、だいたい同じような人たちと顔を合わせることになります。直接の知り合いではなく、とくに会話をすることはなくても、その姿を見ると「今日も来てるな」と、妙に安心するものです。

 

朝8時、私がいつも顔を合わせる人の中に、一度見たら忘れられないくらいインパクトがある人がいます。その人は推定体重130㎏くらい。プロレスラーやラガーマンのようなガッチリ体形ではなく、単純に太っています。おそらく医師からダイエットを勧められて、ジム通いを始めたのではないかと思います。ちなみに私はジムで頻繁に顔を合わせる名前を知らない人に、勝手にニックネームをつけています(過去のコラム参照)。彼のことは「関取」と名付けているので、ここでは関取と表記させていただきます。

 

私がその存在を初めて認識したのは、緊急事態宣言があけてジムの運営が再開された6月頃だったと記憶しています。コロナの影響でお馴染みの顔ぶれに少し変化が見られるなか、突如現れた大型ルーキーが関取です。初めて見かけた日は、首にタオルを巻いて汗を拭きながら、ランニングマシンをかなりゆっくりな速度で歩いていました。あまりにも苦しそうだったので、倒れるんじゃないか?と心配になり、強く印象に残っているのです。

見るからに運動には不向きな体型であり、この人はすぐジムには来なくなるだろうなと思っていました。大変失礼な偏見ですが、太っている人は一人でのジム通いは続かないと思っていたのです(パーソナルは別)。ところが関取は違いました。私がジムに行く日は、ほぼ毎回のように顔を合わせました。ということは、私がジムにいない日もきっと頑張っていたのでしょう。

 

継続は力なり。しばらく時が過ぎると、最初は倒れそうだったウォーキングがいつしか小走りになっていました。そしてマシンを使って筋トレも精力的にこなしています。ジムで初遭遇したのが6月だから、週3回以上ペースで5ケ月通っていることになります。まだまだ太っているためパッと見ではわからないものの、体重も10㎏近く減っているような印象もあります。おそらく最初に見かけた倒れそうだった日は、心が折れかけていたと予想できます。それでもやめずに続けたらこそ、今がある。継続すると確実に成果が出るのだと他人事ながら感心しました。

 

人が頑張っている姿を見るのはとても刺激になり、自分も頑張ろうという気持ちにさせてくれます。年末にかけて仕事が忙しくなると、トレーニングに気持ちが入らなくなることもあるかもしれません。黙々とダイエットを頑張る関取に負けないように、私もトレーニングに励んでいこうと思います。

 

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。