トレーニングに重要な栄養素は、プロテインだけではありません。トレーニーの中には、プロテイン以外のサプリメントを活用して栄養を補給している方も多いのではないでしょうか。今回は、プロテインと一緒に摂ったほうがいい栄養素について、桑原さんに解説してもらいました。
プロテインをタンパク質の摂取という考えに則れば、とりあえずビタミン類、とりわけビタミンB群は一緒に摂るといいでしょう。実際、多くのプロテインにはビタミンB群が配合されているかと思います。
また、どの摂取シーンかにもよりますが、ゴールデンタイムといわれるトレーニング直後の摂取の場合は糖質との相性が抜群です。グリコーゲンリカバリーという効果もありますし、糖質には筋肉の分解抑制や合成の促進も期待できます。糖質によって分泌されるインスリンも、トレーニング後はむしろ出したいホルモンといえます。プロテインを飲む際にバナナなどを食べてもいいですし、ジムに備え付けのプロテインバーなどであればバナナを一緒にシェイクしてもらってもいいでしょう。
他にも、ランナーなどが活用するエネルギーチャージ系のジェルなども効果的です。
おにぎりなどの食べ物も悪くはありませんが、吸収スピード的には遅くなってしまうため、もう少しGI値の高い糖質が好ましいといえます。総合的に考えた場合は、でんぷんを加水分解し、精製したグルコース(ブドウ糖)のマルトデキストリンは非常に相性がいい素材です。
マルトデキストリンが配合されているプロテインもありますから、それらをトレーニング後に飲むという手もありますが、その場合は少しプロテインの量が足りないかもしれませんので、さらにプロテインを加えて飲むという工夫をしてあげると最適です。
各社プロテインの差別化のために、さまざまな栄養素や成分を配合して付加価値を高める努力をしていますが、なにがなんでも一緒に摂るべきというまでには至らないでしょう。
とくにアミノ酸などに関しては、むしろ空腹時の摂取のほうが吸収スピードを阻害しませんから、プロテインとは分けて摂取したほうがいいと思います。
桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。