「糖質カット」はダイエットとして正しい方法? ☆石井直方×中野ジェームズ修一☆SPECIAL TALK #3




筋肉博士とカリスマトレーナーの初対談。第3回目は、誰もが気になる「糖質」に関する話題を中心にお届けします。誤解も多いテーマなので、とくにダイエットをしている人は要チェックです!
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コメが本当に害なら、日本人の平均寿命はもっと下がっているはずじゃないですか

――トレーニングの普及と並行して、栄養面への関心も高まってきていると思います。

中野:時代ごとの流行りみたいなものもありますよね。誰かがブームをつくっているという面も否めないとは思います。

石井:そうですね。それぞれの栄養素の微妙な効果となると、本当に正しいかどうかというのはなかなか立証できないんですよ。ですから逆にいろいろなことが言われるようになって、ブームになってしまう。それはしかたないと思いますね。体はいろいろな種類の栄養を必要としているわけですから、関心が高まるだけでもプラスだと思います。

中野:それはそうですね。情報に気を配る人はたしかに増えたと思います。

石井:国や地域によっては、エネルギーを取るだけでも精いっぱいのところもありますからね。そういう中で「何を摂ったらいいか?」と考えられるのは随分ぜいたくで恵まれていると思います。

――とくに多くの人が注目し、なおかつ意見が分かれがちなのは「糖質の摂り方」ではないでしょうか。

石井:そうですね。まず過剰の糖が体に悪いということは、たしかです。糖化ストレスと言って、糖がどのように動脈硬化を引き起こすかといった仕組みも最近はかなりわかってきています。ただ、糖を極端にカットしてしまうと、筋肉の合成のスイッチがオフになってしまうこともはっきりわかっているので、それも推奨できません。
ですから、糖化ストレスを起こさない程度にエネルギー源としての糖質を確保しながら、トレーニングで筋肉を動かしていくのがベストだと思います。
じゃあ適切な糖質の量はどのくらいかと言うと、これはなかなか難しい。個人差もありますので、最終的にはいろいろ試してみて自分に一番合った摂取量を見つけていくしかないのかなと思います。

中野:ここ5~6年でクライアントやメディアから受けた質問で一番多かったのも「糖質制限をどう思いますか?」というものでした。それはやはり人によってアドバイスの内容も変わってくるんですよね。

石井:激しい運動をしている人が糖質をカットしてしまうと、筋肉の分解が進んでどんどん萎えていってしまいますので、それは避けなければいけない。ただ、短期間のうちに脂肪を落とす必要があるのであれば、糖質をカットするのが効果的であることは研究でも実証されているので、ダイエットが目的なら糖質を中心に減らしていくことはプラスだと思います。その後でリバウンドを防ぐとことが非常に重要になりますが。

中野:指導者としては、過剰に摂りすぎてはダメだし、完全にカットするのもダメという意見に落ち着くんですけど、YouTubeなどで「私は糖質を完全にカットして、この体をつくりました」というトレーナーがいたりすると、そのメソッドに乗っちゃう人もいるんですよね。それで結局、リバウンドするんですけど(笑)。

石井:体のメカニズムから言っても、完全カットがNGなのは間違いないんですけどね。

中野:糖質を単純にワルモノにする人は「ゴハン1杯は、角砂糖を○個食べるのと同じなんだよ」とか言うんですよ。いや、同じ糖でも違うじゃないですか(笑)。そういうふうに考えている人があまりにも多い。コメが本当に害なのであれば、コメをたくさん食べている日本人の平均寿命はもっと下がっているはずじゃないですか。

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石井:むしろアメリカでは、一時期ライスは健康食とされていましたよね。

中野:今もそうじゃないですかね。ただ、最近はラーメン屋に行列ができています。なんでラーメンが好きなの?と聞くと「おいしいし、日本食だから健康的」と言うんですよ(笑)。日本人はラーメンを食べることに罪悪感があるというか、「太ってしまう」と考える人も多いと思うんですけど、アメリカ人はヘルシーだと思っているんです。
あとエダマメもすごいブームですね。昔は好きな日本食と言うと「スシ」だったんですけど、今は完全にエダマメ。なぜかと聞くと、やっぱり「ヘルシーだから」と。日本人がみんなエダマメを食べて健康になっていると思っているんですかね(笑)。

石井:エダマメを食べながらビールを飲むわけではないんですか?