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筋肉はトレーニングで得ないと意味がないんです【ジュラシック木澤のトレーニング哲学vol.04】




なぜ人はトレーニングを行うのか?日本を代表するボディビルダーの1人、“ジュラシック木澤”こと木澤大祐さんに尋ねる本連載「ジュラシック木澤のトレーニング哲学」。連載第4回目は、ドーピング問題について。
●第1回は→こちらから
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――ボディビルという競技は、他競技と比べて選手生命が長いと思います。

木澤 それがこの競技の醍醐味でもありますよね。トレーニングはハードな世界ですけれども、ナチュラル(注:ドラッグ非使用)でやっていけば、息は長いですよね。今、日本選手権だと10代から50代までファイナリストいますが、あり得ないですよね、他競技では。その年代年代に応じたいろいろな経験とかで、体はまだまだどんどん変えられるということだと思います。長くやりたければ、怪我をしないというのが大事ですよね。体力的な部分は、トレーニングの場合、あんまり影響してこないと思います。僕まだ45歳なので、力が落ちるとか、トレーニングが完遂できなくなるとか、そういうのは今のところ全然ないです。

――ナチュラルではない薬物使用者、いわゆる“ユーザー”が増えています。

木澤 若い頃は、本当に遠い向こうの国のことだって思っていました。当時から日本にも本当に稀にいましたけど、そんなに身近な存在ではなかったです。今は、ジムのお客さんからそういう情報を聞くことがあります。実際に勧誘されたとか、そういう話を聞くと、やっぱり本当に身近になっているし、いつでも誰でも手を出せるし、そういう環境になっちゃっているなって分かりますね。

――ユーザーは、なぜ薬物に手を出そうとするのでしょうか?

木澤 筋肉が欲しいという気持ちは、僕らと変わらないと思うんですけれども、とにかく楽して筋肉が欲しい、筋肉だけが欲しいという感じなんでしょうね。僕なんてトレーニングがとにかく好きなので、筋肉はトレーニングで得ないと意味がないんです。そこがそもそも違うんでしょうね。例えば、物が欲しいとして、誰かから貰ったお金で買うのか、自分でコツコツ貯めて買うのか、その時の喜び、その価値というのが違いますよね。

――いわゆる“プロ”、ユーザーのボディビル選手は、どうして薬物を使用するのでしょう?

木澤 まず競技性として、筋肉が全てなので、成績に直結しますよね。そこが一番手を出す要因になると思います。他の競技の大半は、筋肉がついたところで、必ず成功できるかというと、そうじゃないと思います。ところが、ボディビルの場合は、筋肉を増やすという面では、必ず直結してしまいます。ドーピングしている人としていない人の差が、もろ競技に形として出てしまう。そこがやっぱり、やらない人間にとっては凄く悔しいです。やっている人間は、恩恵が相当受けられますからね。でも、筋肉をつける競技なのに、それをやっちゃうと、何をやっているんだか分かんないですよね。だったらもう、美容整形みたいなもので筋肉つけて、それで終わりにすればそれでいいじゃん、別にトレーニングしなくていいじゃん、ってなっちゃう。本当になんだか分からなくなってしまう。

――トレーニングを始めた頃、シュワルツェネッガーに憧れたとのことですが、あの人も実は使っていたと知った時、どう思われました?

木澤 ショックという感覚はそんなになかったかな。だからこんなにデカいんだなと思いました。自分は使わないで、ナチュラルでこの人達に追いつけるぐらいの筋肉をつけたいなというのはありましたね。

――他競技であれば、アマチュアの先に憧れのプロの世界がある。ボディビルの場合、プロ=ユーザーという現状があります。ご自身のYouTubeチャンネルの中で、生まれ変わったらボディビルはやらないと発言しています。

木澤 だから、この競技、ないですよね。プロスポーツになっていない競技もいっぱいありますけど、やっぱりアマチュアを極めて、その先にプロがある。ところが、ボディビルは他競技と事情が異なっていて、プロになることがこんなに道を外すことなんだっていうのが、残念でしょうがないですけどね。

――木澤さんは、日本屈指のボディビルダーであり、指導的立場にいらっしゃいます。その立場から、この現状を、どう変えていきたいと思われますか?

木澤 「プロナチュラル」とか「ナチュラルプロ」みたいなものが欲しいです。そうすれば分かりやすいですよね。どういう名称かはともかく、今のプロは名前を変える。「プロナチュラルリーガー」などの名前のカテゴリーがあれば、それは本当のプロだなって思いますけどね。

取材・文/木村卓二 写真/木村雄大

木澤大祐(きざわ・だいすけ)
1975年1月9日生。20代から30代にかけての約15年間、肉体労働とトレーニングの両立という過酷な日々を過ごす。日本屈指の筋量を誇るバルク派ビルダーとしての地位を築き、現在はJURASSIC ACADEMY代表。ニックネームは「ジュラシック木澤」。
【主な競技戦歴】
2004年ジャパンオープン選手権優勝
2007年・2019年日本選手権4位
2014年・2015年・2019年日本クラス別選手権85kg級優勝
【JURASSIC ACADEMY】
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