グルテンフリーのメリットは?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第145回は、パンやパスタなど、グルテンを含む食品を摂取しないようにするグルテンフリーについて。

■グルテンの過剰摂取には弊害がある

グルテンとは小麦に含まれるタンパク質のことです。さらに詳しく説明すると、グルテニン、グリアジンの2種類があり、これらに水と混ざるとグルテンが作られます。グルテニンには弾性があり、グリアジンには粘性があるのが特徴で、2つの特徴を併せ持ったものがグルテンです。強力粉や薄力粉など、料理の効率化を図るためのものに含まれるので、私たちの生活には密接であると言えます。

ただ、過剰摂取には弊害もあります。これまで私たち人類は、グルテンを大量に摂取してきました。タンパク質はアミノ酸でできており、その組成が整っていると悪影響は起こりませんが、グルテンの場合はアミノ酸的には組成が崩れているため、体内できれいに利用され切りません。その際に過剰となり使われなかった分が長期間続くことで、体内で悪さを始めます。その最たるものがアレルギーです。

実際、グルテンには栄養としての価値はあまりありません。しかし、つなぎの役割や食感を生む価値があるので、小麦はどんどん品種改良され、グルテンをよりたくさん作れるものになってきています。結果として、グルテンの摂取量がさらに増えたため、アレルギー反応を起こすケースも増えてしまっているのです。

グルテンフリーの考え方の原点は、グルテンに対する自己免疫のない「セリアック病」という難病です。その治療法の一つとして用いられていたのが、グルテンを摂らない食事=グルテンフリーの食事法です。もともとは、グルテンアレルギーの人以外には有効ではないと言われてきましたが、摂るのを控えたり断ったりしたら調子がよくなったというケースが多く報告されています。とくにグリアジンには強い中毒性があります。その中毒性ゆえ、あまりにグルテンを摂りすぎている人は腸内環境が悪くなり、便秘や下痢が起こりがちです。ひどい場合は、吐き気や頭痛を引き起こします。そこまで悪くなくとも、日々のちょっとした不調はもしかしたらグルテンの過剰摂取の弊害の可能性があるかもしれません。

原因はさておき、意識的にグルテンの摂取量を減らす試みは、アスリートの間では関心が高い取り組みのひとつです。パスタやパンだけでなく、カレールー、揚げ物の衣、うどん、蕎麦、ビールや発泡酒、麦焼酎、食品添加物など、じつに多くの食品にグルテンは使われているため、外食しながらでは本当に難しいのが、グルテンフリーの問題点です。こういったものを一切摂らず厳格にやってみたい人は、1~2週間などと期間を限定してみて、事前の準備をして突入するといいでしょう。最初は期間限定で計画的に行なうようにします。

そこまで厳格でなくていいという人は、食事の主食になるグルテンを削ること。パン・パスタ・ラーメンなどはやめて、お米をメインにします。加えて、間食のお菓子を我慢します。この2つを守るだけでも腸内環境が整い、慢性的な疲れが取れるといった効果が期待できるかもしれません。お米以外ではオートミールがグルテンフリーです。

またスーパーグレイン(驚異の穀物)として注目されている「ソルガムキビ」も、グルテンフリーの強い味方です。味に癖がなく、形状的にお米やパスタ、パンなどにも変えられますので、お米がメインになる食生活に飽きた時に、アクセントとして入れるといいかもしれません。ソルガムキビは、近隣のスーパーではあまり見かけないと思うので、通販を利用することになるかもしれませんが、私が利用しているのは中野産業という会社のもの。米状やパスタ状のものなどいろいろなバリエーションがあり、値段も手ごろなのでおすすめです。気になる人は、下記のホームページを見てみてください。

中野産業株式会社


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。