こんにゃくの体への効果は?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第149回は、ヘルシーなイメージが強いこんにゃくについて。

■摂取よりも排泄にこそこんにゃくの魅力がある

こんにゃくはひたすら低カロリーですから、この飽食の時代だからこその特徴が最大限に活かせる食材かもしれません。

原料はサトイモ科のこんにゃく芋ですが、その主成分はグルコマンナンという食物繊維でこれが水を大量に抱え込んだ状態にあります。グルコマンナン自体は水溶性の食物繊維ですが、水を抱えて凝固する過程において不溶性へと変化するため、こんにゃくの食物繊維は不溶性ということになっています。100gあたりで5~6㎉ということですから、糖質も脂質も実質ゼロと言ってもいい状態です。つまりこんにゃくを食べても、実質は水分と不溶性の食物繊維だけを食べていることになります。

昔から「胃のほうき」などと呼ばれることもあるように、摂取よりも排泄にこそこんにゃくの魅力があると言えます。人類の歴史は飢餓の歴史と言っても過言ではなく、カロリーこそが食べ物の最大の価値であったのですが、私たちは奇跡の飽食の時代に生まれ、その副産物として過剰摂取という贅沢なマイナス効果を生んでしまいました。食べてもカロリーが入ってこず、不要なものを排泄してくれ、満腹感が維持でき、天然の素材という、今の時代にこそ価値を発揮できる食材のひとつと言えるのではないでしょうか。

私も随分と以前にはカロリーのない食材ということで、あまり魅力を感じていなかったのですが、あえてカロリーがない食材という価値を最近はひしひしと感じています。こんにゃくだけをダイレクトに食べてもあまり美味とは言い難いかもしれませんが、調理をすることで非常においしい料理に変身してくれるのもこんにゃくの魅力です。こんにゃく田楽などは、減量期でも安心しておいしく食べられる料理です。減量中の方の空腹対策としての効果も抜群ですね。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。