ストレスフリーの環境で育ったニワトリの卵は体にいい?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第160回は、放し飼いの状態で飼育されたニワトリの卵について。

■栄養価よりも味覚面に違いを感じる

卵は物価の優等生と言われるくらい価格が安定していますから、まさに庶民の味方の代表的な食材と言って過言ではないと思います。かと言って安物の食材というわけではなく、高級レストランでも卵は当たり前のように使いますし、和洋中問わず利用されている点も本当にすごい食材だなと思うのです。しかもその栄養価は抜群に高く、今では市場から姿を消してしまったエッグプロテインなども、栄養価だけの比較で言えばホエイに対しても引けを取りませんでした。

こうなると卵の中でもさまざまな差別化が生まれているのは、スーパーの店頭を見ても一目瞭然です。チラシに掲載される特売の目玉となる卵もあれば、いろいろなうんちくがついている高級卵も並んでいます。普段は白い特売卵だけど、ちょっと余裕がある時には高い卵にしてみようと思うのは、発泡酒、ビール、さらに高級なビールを日頃飲み分けている感覚に近いものを感じてしまいます(笑)。

さて、ストレスフリーの環境で育ったニワトリの卵についてですが、この場合のストレスフリーとはケージに入れられてひたすら食べる、寝る、産む、を繰り返すニワトリではなく、平飼いと呼ばれる状態で、ある意味ニワトリ本来の生き方で生活をさせてもらっているニワトリが生んだ卵ということでしょう。直接、栄養面に関わってくるのは、ニワトリがどういった餌を食べているかの影響のほうが大きいと思いますので、極端にビタミンやミネラルの含有量が増えるとか、高タンパク・低脂質になるなどは考えにくいと思います。

では、ストレスフリーのニワトリの卵には意味がないかと言われればそうではなく、タンパク質とかビタミンとかといったわかりやすい栄養素の多い少ないとは別の、さらに奥深い価値が生まれているのではないかと思います。たとえば濃厚なコクのある味であったり、とろりとした食感であったり、一般的に卵かけご飯にピッタリの卵といった印象です。もしかすると栄養価にも違いがあるのかもしれませんが、個人的には味覚面での違いが大きいのではないかと思って、晴れの日の卵かけご飯にはストレスフリー卵を選んでいます。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。