甘酒は体にいい?【桑原弘樹の栄養LOVE】




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養や肉体に関する疑問を解決する連載。第159回は、健康飲料と呼ばれる甘酒について。

■これぞヘルシーオールインワンドリンク

甘酒と称されるものには酒粕を使って作るものと、米を麹で発酵させたものがありますが、酒粕を使った甘酒には若干ではありますがアルコール分が含まれますので、とりあえず子どもや妊婦には不向きかもしれません。お正月などに神社で振る舞われているのはこの酒粕を使った甘酒で、最近スーパーや自販機などでもジュース感覚で売られているのは、米と麹から作られた甘酒のほうで、こちらはアルコールも含まれず、まさにザ・健康飲料と言えます。もしかすると、日本における伝統的健康ドリンクの元祖かもしれません

発酵は味噌や納豆などもそうですが、日本が誇る食文化であり、甘酒にもその技術が生かされています。米が主原料ですので、ブドウ糖やオリゴ糖が含まれているのは不思議ではありませんが、米にはほとんど含まれていない必須アミノ酸が発酵によって作られ、またビタミンB群がバランスよく含まれるなど、健康には欠かせない栄養素ど真ん中の成分がしっかりと含まれています。

甘酒が「飲む点滴」などと呼ばれることもあるのは、こういった栄養素の種類の豊富さとバランスのよさからくるのでしょう。さらには消化酵素も含まれているので、たとえば朝起きて飲むことで内臓を優しく目覚めさせてあげ、脳にエネルギーを送るといった役割も期待できそうです。なにせ一度に良質な糖質、アミノ酸、ビタミン、消化酵素が摂れてしまうのですから、これぞまさにヘルシーオールインワンドリンクです。

大量にガブガブと飲む類の飲料ではありませんので、起床時のタイミングが一番マッチしているように思いますが、もし甘い味が苦手という人は何か酸味のするジュースで割ってやると、飲みやすくなるかもしれません。これから寒い季節になりますが、その場合は温かくして飲むにもピッタリの素材ですので、朝というシーンに何か改善を考えている人は試してみる価値アリだと思います。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。