フィットネスに親しんでいる人や、過去に部活などで運動をしていたことのある人のほとんどが“自分は走れる”と考えているのではないでしょうか? でも、プロのコーチから見ると、多くの市民ランナーは“正しく走れていない”ようです。そこで、市民ランナーからオリンピックを走るアスリートまで、幅広いランナーを指導するプロランニングコーチの金哲彦さんに“正しい走り方”についてレクチャーしてもらいます。
※本記事は、2018年に公開した記事を再編集して紹介するものとなります
これまでは主にハーフマラソンまでのレースの走り方や練習のしかたなどを中心に述べてきましたが、多くの人が目指すのはやはりフルマラソンの完走でしょう。ただ、フルマラソンを完走しようというのであれば、ハーフまでとは異なりある程度計画的に練習をする必要があります。
ランニングをする習慣のない人がフルマラソン完走を目指すのであれば、半年程度の準備期間を想定したほうがいいでしょう。始めの3ヶ月は、それこそ歩くことから始めて「ランニングを習慣にすること」を目指します。
なかには、過去にスポーツをしていたのでもっと短縮できると考える人もいるかもしれませんが、そういう人ほど気を付けたほうがいい。ランニングを始めたはいいが、ペースを上げすぎてヒザなどを痛めて断念してしまう人の多くは過去にスポーツを経験していた人です。若い頃に比べたら、どうしても体力は落ちていますので、無理をせず歩くことから始めるのが大切なのです。
歩くことから始めたら、意識してほしいのが正しいフォームです。この連載の第5回で解説した体幹で走るフォームを身に付けることが、フルマラソンの完走には必要なのです。
今まで何度もフルマラソンに挑戦しても完走できなかった人が、この走り方を身に付けたら完走できたという話はたくさんあります。