食事やサプリメントで免疫力アップは可能?




サプリメント実践的活用のスペシャリストである桑原弘樹さんが、サプリや栄養に関する疑問を解決する連載。今回は新型コロナ禍後、話題になることが多い免疫力について。
※本記事は、2020年に公開した記事を再編集して紹介するものとなります。

■グルタミン、ビタミンCを摂取して免疫を維持

免疫を高めるというよりは「正常な免疫を下げない」という効果にはなりますが、食事はそのための大前提と言えます。

バランスのいい食事、そして栄養素が体内に充足していること、このふたつがとても大切です。その理由は、体内でATP(エネルギー)をつくりやすくしておくためです。

運動に限らず、体内でのさまざまな反応や生命活動そのものに、ATPは不可欠です。裏返せばATPがしっかりと産生されない状況は、すなわち免疫が落ちていく状況でもあります。

サプリメント的にはグルタミン、ビタミンCあたりは免疫に有効な栄養素と言えます。グルタミンは小腸のエネルギーとなるアミノ酸で、非必須アミノ酸でありながらこの役割はグルタミンにしかできません。

 

 

そして腸には70%ほどの免疫細胞が集まっているため、グルタミンが不足している状況になると免疫細胞のリンパ球の増殖低下やマクロファージの応答低下などが認められていて、これこそが体内の免疫が下がっていく状態と言えます。

また、ビタミンCは抗酸化という点においても有効な栄養素ですが、免疫に不可欠なインターフェロンというサイトカインをつくる際にも必要となる栄養素です。

インターフェロンとは、病原体の侵入に反応をして細胞がつくり出すタンパク質のことで、ウイルスや細菌の増殖を阻止する役割をします。このインターフェロンが合成される際にビタミンCが必要となるため、ビタミンCがしっかりと充足されていると逆にインターフェロンがつくられやすくなり、免疫が維持されるというわけです。

グルタミンもビタミンCも食品がゆえに、免疫を維持するためにどれくらい摂取すべきかの指標がなかなかありません。たとえば厚生労働省のビタミンCの推奨量は100mg/日ですが、これでは足りないと思います。この10倍の1,000mgは摂取しておくのがいいでしょう。グルタミンに関しても基準はありませんが、起床時と就寝前に各5g程度の摂取がひとつの目安となると思います。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。