さらなる“進化”を続けるSuper Body Contest。より選手たちが輝き、観客が楽しめるステージへ【SBCヘッドコーチ兼ディレクター・木下智愛に聞く】




競技性とエンターテインメント性を持ち合わせながら、そのときどきに合った“かっこいいカラダ”を競う大会として2019年にはじまったSuper Body Contest(SBC)。コロナ禍の2020年はオンラインコンテストを開催するなどの柔軟性を見せてきたSBCは2022年夏、新カテゴリーとして「SBC TIGHT」「SBC DENIM」をスタートさせた。今回、SBCのヘッドコーチ兼ディレクターの木下智愛に、4年目を迎えたSBCでの手応え、カテゴリー新設の経緯や狙い、そこに込められたこだわりをインタビュー。全2回でお届けする。

選手がステージで個性を出せるように

――SBCは今年で4年目。コロナ禍でリアルコンテストの開催が難しい時期もありましたが、手ごたえを感じている部分もあるのではないでしょうか。

木下 出場してくれる選手も少しずつ増えてきていて、手ごたえを感じている部分はあります。まずはSBCを知ってほしいという思いからオンラインとリアルの無料レッスンを定期的に開催しているのですが、それを経て、初めてコンテストの舞台に立つ選手がたくさんいます。また、Instagramでコンテストの動画や規定ポーズの動画も積極的に投稿するようにしているので、新規に選手や別団体のコンテストへの出場経験のある方がそれを見て「ステージが華やかで楽しそう」とSBCに出てくれたりもしますね。

――これまでの大会を取材する中で、「SBCはサポートがしっかりしていて出場しやすい。温かい雰囲気がある」と話す選手は多いです。

木下 そう言っていただけるとうれしいですね。レッスンに来られる方の中には、数ヶ月前にトレーニングをはじめたばかりという方もいます。そういう方にとっては、本来はここに来るだけでもハードルが高いのではないかと思いますが、「安心して大会にも出場できる」と言ってくださいます。

――大会後に木下さんやCEOの村松良一さんのところに来て、フィードバックを熱心に聞く選手の姿も非常に印象的です。

木下 選手のみなさんの熱量は、常に感じています。規定ポーズや、特にフリーポーズの際の振付は私がその選手に合ったものをつくることも多いのですが、もっとうまくできるようになりたい、さらに極めたいという思いを持っている方が多いですね。規定ポーズにしてもフリーにしてもかなり奥深く指導をしていますので、みなさんのスキルは確実に上がっていきますね。大会に出て、フィードバックを受けて、またレッスンに来てより良いものにしてステージに立つという流れができていると感じます。

――男子も女子も、さまざまなダンス経験も豊富な木下さんがフリーポーズをつくっているんですよね。

木下 そうですね。その人の動きを見れば、スキルや特徴は見えてきます。ダンス経験者の方などもいらっしゃいますが、ほとんどは未経験の方なので、まずはやりたいことがあればそれを聞いてイメージをつくっています。ただ、ハードルを高く設定しすぎても萎縮してしまうので、最初はシンプルだけれども美しく見せられるものを伝えるようにします。まずは基礎をつくって、そこから振付を一つ一つ教えていく感じです。

――個性的な選手が多いのはSBCの特徴だと思いますし、実際に観客席から見ていても「今日はどんな選手が出るんだろう?」と楽しみになります。

木下 コンテストなので規定ポーズなどはもちろんありますが、その中でも個性を大切にしてしっかり出せるようにしてあげたいと思っています。競技性は求めつつ、ショータイムであることも忘れないように意識しています。

高級感のある衣装から細かい振付へのこだわり

――初年度は王道部門である「SBC」部門のみでスタートしましたが、2021年に細身のボディを重視した「TREND」部門、そして2022年からファッション性を重心した「COLLECTION」部門と、年々競技の幅が広がっています。まずは今年4月の埼玉大会が初戦となった、女子の「SBC MONOKINI(モノキニ)」はどういった狙いがあるのでしょうか。

木下 海外では、ビキニがあればモノキニも必ずあるという流れになっているので、ではやってみようと。SBC部門よりも審査基準の筋量や筋肉のカットのハードさは緩めなので、選手にとっては出やすいカテゴリーではないかと思います。

――4月の埼玉大会、5月の静岡大会ともに10人以上がエントリーしており、「出やすい」という声は選手たちからも確かにありました。

木下 もちろん、ただハードルを下げただけではありません。やるからには、こだわりたいところもたくさんありました。例えば衣装は、いわゆるツルツルの水着のようものではなく、高級感のあるベルベット素材のものを規定としています。ポージングも、SBC部門ではフロントポーズの際に足を閉じていますが、足を少し開いてワイドスタンスに見せるようにししていて。モノキニは前面がビキニと違って素肌が隠れているぶん、足を閉じるとストンとした寸胴に見えてしまうんですよ。なので、軸脚からサブの脚を広げたワイドスタンスが、Vシェイプを出しやすいワイドスタンスとして特徴にしました。

――選手たちが美しい姿でステージに立つためのこだわりですね。

木下 そうですね。規定ポーズに至るまでの動きも、両手を使って大きく見せるようにしています。アームスの流れは基本的にSBCと同じにしていますが、サイドポーズはS字のボディラインが見せるような静止のポーズにして。バックポーズも、一度腕を上げて肩を寄せてから横に広げるという振付を規定としたんです。おそらく、そういったポージングの流れまで細かく規定としているのは、他の団体にもなかなかないのではないかと思います。

――あまり聞いたことはないですね。やはりそこは、自分がもっとも輝ける姿を見せてもらうようにしつつ、エンターテインメント性のあるステージとしての演出の意味も込められているということですか。

木下 そうですね。ポージングをみんなで揃えてステージでやると、本当にかっこいいんですよね。実は髪型も、お団子がポニーテールと決めています。背中が開いているレオタードのような衣装なので、私の競技経験で一番の基盤でもあるのですが、少し新体操をイメージして。ステージに立っている選手も、見ている観客のみなさんも楽しんでもらえるものになっていると思います。

★次回は、8月からスタートした「SBC TIGHT」「SBC DENIM」、そして今後の展望について
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取材・文・写真/木村雄大