プロテインを摂取する際の注意点はありますか?【プロテイン入門⑱】




筋トレや栄養補助のために役立つプロテインですが、だからといって摂りすぎてしまえば体に害を与えてしまう可能性もあります。そこで今回は、プロテインを摂取する際の注意点について、桑原さんに解説してもらいました。

プロテインは決してビクビクしながら飲むものではありませんが、かといって飲めば飲んだだけ何か特別な効果が現われるものでもありません。したがって、注意というレベルではないかもしれませんが、摂取のタイミングや摂取量に関しては意識を高めておく必要があります。

簡単なことのようですが、とくに摂取量に関しては中上級者ほど陥りやすいかもしれません。

たとえば、運動強度などに対してタンパク質の摂取量が足りなかったとします。そこでプロテインの量を少し増やしてみて適切な摂取量になれば、筋タンパク質の合成はより促進されるので筋肉が付いたという実感につながっていきます。ここまでは正しいのですが、プロテインの量を増やした=筋量が増えたという印象が強く残っているので、どうしてもさらにプロテインの摂取量を増やしていきたくなります。自分にとっての適切な量を試すために一時的に増やすなどのお試しはアリですが、そのまま過剰な量のプロテイン摂取を続けることにメリットはありませんし、長期にわたって摂取量を増やすことは健康被害にもつながる危険性があります。

タンパク質はアミノ酸に分解されますが、そのアミノ酸はさらにアミノ基と有機酸に分解されていきます。過剰となったアミノ基は、アンモニアへと変化して肝臓で解毒されて、腎臓でろ過されて排泄となります。これは、体内に猛毒であるアンモニアを無毒化する機能が備わっているということでもありますが、その機能をつねに過剰に使っていてはやはり負担は大きくなってしまいます。

プロテインを飲むと肝臓を傷めるなどという都市伝説的な話がまことしやかにささやかれるのは、こういった理屈があるからでしょう。とはいうものの、長期にわたる想定を超えた過剰摂取は都市伝説では済まなくなってしまいますから、やはり自身の必要量を見極めて適切な量とタイミングへの意識を高めておく必要があります。

ちなみに、タンパク質(アミノ酸)は体内にためておけない栄養素ですから、一日トータルでは適切な量であっても、それを一度に摂取してしまうと過剰となってしまう点も注意が必要です。


桑原弘樹(くわばら・ひろき)
1961年4月6日生まれ。1984年立教大学を卒業後、江崎グリコ株式会社に入社。開発、経営企画などを経て、サプリメント事業を立ち上げ、16年以上にわたってスポーツサプリメントの企画・開発に携わる。現在は桑原塾を主宰。NESTA JAPAN(全米エクササイズ&スポーツトレーナー協会 日本支部)のPDA(プログラム開発担当)。また、国内外で活躍する数多くのトップアスリートに対して、サプリメント活用を取り入れた独自のコンディショニング指導を行ない、Tarzan(マガジンハウス)など各種スポーツ誌の企画監修や執筆、幅広いテーマでの講演会など多方面で活躍中。著書に「サプリメントまるわかり大事典」(ベースボールマガジン社)、「私は15キロ痩せるのも太るのも簡単だ!クワバラ式体重管理メソッド」(講談社)、「サプリメント健康バイブル」(学研)などがある。プロフィール写真のタンクトップにある300/365の文字は、年間365日あるうち300回のワークアウトを推奨した活動の総称となっている。300日ではなく300回であることがポイントで、1日2回のワークアウトでも可。決して低くはないハードルだが、あえて高めの目標設定をすることで肉体の進化が約束されると桑原塾は考え、実践している。