佐久間編集長のパーソナルトレーナー百人斬られ(仮)Vol.28 三久保宏治 前編




VITUP!編集長・佐久間が全国のパーソナルトレーナーさんを巡っていく「パーソナルトレーナー百人斬られ(仮)」。今回登場するのは“KJ”こと三久保宏治トレーナーです。海外から最先端のトレーニングを取り入れ、多くのアスリートから支持を集める三久保トレーナーの歩みを紹介していきます。

「自分が日本で一番新しいことをやっていると思っています。アメリカの情報はすぐに入ってくるので、それを一番先に日本に取り入れているという自信はあります」

 

三久保宏治トレーナーが、自身のトレーニングを国内最先端と言い切るのには根拠があります。中学高校の英語の教員免許を持ち、英語が堪能な彼は、その英語力を生かした海外のトレーナーとのネットワークから、常に最先端のトレーニング情報を入手し、研究を重ねているからです。実際、“KJトレ”と呼ばれる最先端トレーニングは評判を呼び、現在では多くのアスリートが、三久保さんのもとを訪れています。

子どもの頃からスポーツが好きで、サッカー、卓球、バレーボールと、さまざまなスポーツに取り組んできた三久保さんが、本格的にトレーニングに目覚めたのは大学生になってから。当初は部活をやめて少し緩んだ体を引き締めたいという思いで、フィットネスジムに通って、自己流でトレーニングをしていました。

 

「当時はYouTubeのトレーニング動画などはない時代だったので、雑誌を見ながら自己流でトレーニングをしていました。ただ、筋トレをしているだけでは飽きてきて、何か競い合うものをできたらと考えていたとき、偶然見た雑誌に“これからくるフィットネス”みたいな特集があって、クロスフィットの存在を知りました。これは面白そうだなと思って、ジムを調べると、関西に一つだけジムがあったんです」

 

三久保さんが大学生だった2010年頃は、日本にはクロスフィットを学べるジムは少なかったものの、ちょうど通っていた大学と同じ京都にクロスフィットをできるジムがあり、さっそく入会。このクロスフィットとの出会いから、人生が動き出していくことになります。

 

「入会したジムはイギリス人のコーチだったのですが、牧師さんをやりながら副業でコーチをやっている感じで、クロスフィットができるのは週に1回だけだったんです。しかも月謝も高くて、学生が通うには厳しい環境でした。ただ、いろいろ調べていると、大阪のプラマーズデンというジムでもクロスフィットができることを知って、ここでやっていくことにしました」

 

高い運動強度で行なわれる、クロスフィットのトレーニングにハマった三久保さんは、大学の講義の前にジムに行き、講義が終わったらまたジムに行くというくらい、クロスフィット三昧の日々を過ごしていきます。

 

「当時、僕と同じくらいの身長で体重も70㎏くらいしかない人が、世界で3位になっていて、これなら自分も上を目指せるかもしれないと思ってのめり込んでいきました。やっていて達成感があって、すごく楽しかったんです。大学在学中に東京に行ってクロスフィットトレーナーの資格をとりました。このとき行ったジムの代表が極真やK-1で活躍したニコラス・ペタスさんで、ここで接点を持ったことが、のちに影響してくるんです」

 

大学では英語の教員免許を取得したものの、すっかりトレーニング、クロスフィットにハマっていた三久保さんは、結局、教員の道へと進むことはありませんでした。

 

「体を動かすことが好きだったので、最初は消防士になることを考えました。ただ、試験のタイミング的に大学を卒業してから約1年、時間をムダにしてしまうんです。自分だけが働いていない状況にフラストレーションがたまってたときに、クロスフィット六本木というジムがオープンすると知って、当時のオーナーが接点のあったニコラス・ペタさんだったので、雇ってほしいというメールを送りました」

 

三久保さんはインターンシップのため上京。インターンを経て正式にコーチとして採用され、クロスフィットトレーナーとしての日々が始まりました。上京後にはクロスフィットの国際大会にも出場するなど、活動の幅を広げていきます。

そうしたなか、リバーサルジム新宿MeWeでもクロスフィットの指導を開始。ここで総合格闘技RIZINで活躍する、藤田大和選手、倉本一真選手らに加え、アメリカを拠点にしていた佐々木憂流迦選手が来日した際にも指導を行ないます。三久保さんが指導する選手たちの肉体や動きが劇的に変化していったことで、知名度も急上昇し、次々と依頼を受けるようになっていきました。

 

「30歳くらいで自分のジムを持ちたいとは思っていました。佐々木憂流迦選手をはじめ、いろいろな選手のトレーニングを見てきて、いろいろな選手が興味を持ってくれるようになりました。自分の知名度も上がってきて、年齢的にもいいタイミングだったので、自分でジムを持つことしました」

 

現在は武蔵小山にKJ PERFORMANCE GYMを構え、多くのアスリートから一般の人まで幅広く指導する三久保さんに指導モットーを聞くと、「愛ですね」という言葉が即答で返ってきた。

 

「たとえば格闘技の選手で減量まで見るとなると、その試合だけでなく、2~3か月かけて減量もサポートします。闘うのは一人でも、一人だけではできないスポーツなので、寄り添っていかないといけないと思っています。アスリートに限らず、僕を信頼してきてくれるお客様には一番いいものを提供したいので、同じことはやりたくない。常にアップデートし続けないといけないと思っています。トレーナーはたくさんいるし、トレーニングをする人もたくさんいるので、何を信じるかはそれぞれの自由です。僕を信じてくれる人には最高のものを提供していくだけです」

 

自分のもとに来てくれる人には最大限の愛を持って、最大限のトレーニングを提供する。それが三久保さんのモットー。冒頭に記したように、海外から最先端のトレーニングを取り入れるのは、それを実行するためです。

 

「将来的にジムの店舗を増やしたい気持ちはありますが、後進を育てるのは大変ですね(苦笑)。夢はUFCチャンピオンを育てること。その道は遠いかもしれませんが、挑戦していきたいです」

 

最高のトレーニングで最高の選手を育てるという大きな夢に向かって、三久保さんはこれからも日々アップデートを続けていきます。

 

というわけで今回はここまで。次回は三久保トレーナーのトレーニング実践編です。

 

【トレーナーPROFILE】
三久保宏治(みくぼ・こうじ)
小学校ではサッカー、中学校では卓球、高校ではバレーボールと幅広くスポーツに取り組み、大学在学中にクロスフィットと出会う。大学では英語教育を研究し、中学高校の英語の教員免許を取得。英語力を生かし、海外のトレーナーや文献から最新のトレーニングを学んでいる。大学卒業に上京し、クロスフィットトレーナーとして活動し、2021年に自らが主宰する「KJ PERFORMANCE GYM」を設立。佐々木憂流釈、藤田大和、倉本一真、Sareeeら、数多くのアスリートのフィジカルトレーナーを務める。
〔保有資格〕
クロスフィットレベル1・2トレーナー/ランドマインユニバーシティ/中学高校教員免許(英語)

 

【パーソナル情報】
KJ PERFORMANCE GYM
〔住所〕品川区小山2-12-19
★初回登録料=1万円(税抜)
〔料金〕
★10回チケット=現金払い6万5000円(税抜)/クレジットカード払い7万円(税抜)
★5回チケット=現金払い3万6000円(税抜)/クレジットカード払い4万円(税抜)
★1回==現金払い9000円(税抜)/クレジットカード払い1万円(税抜)
※そのほか、体験など詳細はHPをチェック

 

佐久間一彦(さくま・かずひこ)
1975年8月27日、神奈川県出身。学生時代はレスリング選手として活躍し、高校日本代表選出、全日本大学選手権準優勝などの実績を残す。青山学院大学卒業後、ベースボール・マガジン社に入社。2007年~2010年まで「週刊プロレス」の編集長を務める。2010年にライトハウスに入社。スポーツジャーナリストとして数多くのプロスポーツ選手、オリンピアン、パラリンピアンの取材を手がける。