高カロリーの菓子パンは増量に適しているのか?【ガリガリ男子の食事を管理栄養士が分析②】




読者のみなさま、こんにちは。編集部員のシュー・ハヤシです。

本企画では170㎝、53㎏というガリガリボディを改善すべく、管理栄養士の大野尚子さんに食生活改善のアドバイスをいただきます。前回はエネルギー・栄養素量ともに不足というお話をいただき凹みましたが、増量のためには立ち止まっている暇はありません。今回は気を取り直して、休日の食事を見ていただきます。大野さん、よろしくお願いします。

休日は食事もオフモード


平日の勤務を完遂し、休日がやってきました。普段の疲れを癒すためという大義名分のもと、しっかりと二度寝してから朝食を食べます。この日は10時30分にコンビニのホイップロールをパクリ。お腹を満たした後に外出しました。

家に戻ってきたのは16時30分頃。ランチタイムはとっくに過ぎていましたが、お腹も空いたので帰り道のコンビニで買ったハムカツサンド、銀鮭はらみおにぎり、ファミチキをいただきました。一応、肉や魚などタンパク質が多く含まれていそうなものを意識して選びました。

夕食は20時30分頃、スーパーで購入したバターチキンカレーです。お昼が遅かったので、夜もいつもより少し遅めの時間です。カレーはいろいろな食材が入っているし、何より味がおいしいのでよく食べます。

2食しか食べない日もあることを考えれば、この日は3食摂っているので私の中では健康的なほう……。とはいえ内容は菓子パン、コンビニ飯、レトルト食品のコンボを決めてしまったので、自信満々というわけにはいきません。大野さん、いかがでしょうか。

健康的な増量とは?

食生活記録・改善アプリ「あすけん」にて栄養価を算出

「増量は消費エネルギー量よりも摂取エネルギー量が上回ることが重要ですが、その中身も大切です。朝は菓子パンが定番のようですが、菓子パンはそのビタミン・ミネラルの少なさから、『お菓子であってパンではない』ので、しっかりと栄養を確保するためにも朝ご飯を充実させるべきです。タンパク質の豊富なサンドイッチや、具入りのおにぎりを意識して食べるといいですね。そこにスープやみそ汁、野菜、果物、乳製品(ヨーグルト、チーズ、牛乳)などを追加していくと、不足しがちなビタミン・ミネラルの摂取量をアップさせることができます」

おっしゃる通り、菓子パンの栄養素を確認すると高カロリーかつ脂質過多。さらに他の栄養素はほぼナシというお菓子そのものでした。仮に太れたとしても、食べ過ぎたせいで健康にマイナスになっては意味がありません。また、食事の傾向として脂質、特に飽和脂肪酸が多いことを考えると、夕食のバターチキンカレーも控えたほうがよさそうです。カレーは調理も簡単なので、できれば今後も主力にしていきたいのですが……。

「バターチキンカレーは、ものによって大量のバターが使用されていることがあります。今回は食べても大丈夫な範囲でしたが、確認してから食べたほうがいいでしょう。せっかくカレーを食べるのであれば、キーマカレーなど野菜が多く入っていて健康的なものもあるので、外食時はそういったものを選ぶのがおすすめですよ。また、ハヤシさんはタンパク質が足りないので、脂質に注意しつつカツカレーを選ぶのもありです。ヒレカツなら脂質を多少は抑えられます」

カレー禁止を免れたと言っても、喜んではいられません。グラフを見るとカルシウムやマグネシウム、ビタミン類などがまったく足りていなかったからです。これでは健康のために重要な栄養素が足りていないどころか、体に悪いものを過剰摂取しているといっても過言ではありません……。健康的な増量には、栄養バランスを加味した食事が必要だと痛感します。

「今、栄養バランスが乱れている原因の一つに、野菜や果物の不足があります。野菜は1日5~6皿が理想なので、最低でも毎食1皿は野菜を食べたほうがいいでしょう。果物も1日1回は食べたほうがいいですね。先ほど申し上げた通り、朝食の改善から始めると今不足している部分が満たされていくと思います。まずは野菜ジュースから取り入れてみるのもいいですね」

栄養素がまったく足りていない現状を見ると、増量はおろか健康状態も心配になってきます。大野さんによると「洗ってすぐに食べられるミニトマトやカットフルーツでもいいですよ」とのことなので、将来の体のためにも食生活改善に取り組んでいきたいと思います。大野さん、ありがとうございました。(3日目に続く――)


大野尚子(おおの・しょうこ)

食生活の相談室 食STEP代表、管理栄養士。短大卒業後、栄養士として給食会社・食品会社勤務を経て管理栄養士の免許を取得。(独)国立健康・栄養研究所にて、国民健康・栄養調査業務に携わり、全国各地での研究における食事調査を担当する。その後、特定保健指導、国立スポーツ科学センターでのトップアスリートの栄養サポートを担当。独立後はジュニアアスリートを中心としたスポーツ栄養相談・個別サポートNPO法人における生活困窮世帯に対する食育事業、高齢者介護予防事業、コラム執筆、講演活動などに注力している。