薬を飲むと眠くなるのはなんで?【ドクター長谷のカンタン薬学】




風邪をひく、頭痛、筋肉痛、二日酔い……日常生活では何かと薬のお世話になる機会も多いもの。薬はドラッグストアやコンビニでも簡単に手に入る時代。だからこそ、使い方を間違えると大変!  この連載では大手製薬会社で様々な医薬品開発、育薬などに従事してきた薬学博士の長谷昌知さんにわかりやすく、素朴な疑問を解決してもらいます。
※本記事は、2019年に『VITUP!』で公開した記事を再編集して紹介するものとなります。

Q.薬を飲むと眠くなるのはなんで?

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薬を飲んだら眠くなって仕事や勉強ができなかった。そんな経験がある人もいるでしょう。薬を飲んで眠くなる理由は、簡単に言うと副作用です。

副作用としての眠気を引き起こす薬の代表格は、抗ヒスタミン薬、いわゆるアレルギーを抑える薬です。悪名高い「花粉症」もアレルギーの一種ですので、花粉症の予防や治療のため抗ヒスタミン薬を処方された方も多いと思います。また、市販の総合感冒薬などにも含まれていることが多いので、服用時のTPOには注意を払いたいものです。

まず、抗ヒスタミン薬による眠気を理解するためには、花粉症がなぜ起きるのか理解していただく必要があります。アレルギー反応は、ザックリ言いますと、体内へ侵入した異物を取り除くために起こります。

たとえば、花粉が体内に侵入すると、「肥満細胞」が花粉の侵入を察知し、「ヒスタミン」という物質を花粉侵入現場に放出します。放出されたヒスタミンは、周辺の血管に作用し血管に隙間をつくり、その隙間を通って免疫細胞が現場に到着、その時、一緒に血管から体液が漏れ出し鼻水や涙に含まれて花粉は流れ出ます。また、周辺の神経に作用すると、引っかいたりくしゃみにより花粉を取り除こうとします。

ヒスタミンが、このような反応を引き起こすには、血管や神経に存在するヒスタミン専用の鍵穴に結合する必要があります。H1~4の4種類の鍵穴が見つかっていますが、アレルギー専用の鍵穴はH1です。

ちなみに、H2は、胃にだけ存在し胃酸を分泌させるための鍵穴で、CMでおなじみの“ガスター10”はH2とヒスタミンが結合するのをブロックし、胃酸の分泌を抑える胃薬です。このように、ヒスタミンは、種類の違う鍵穴を使っていろいろな役割をはたしているのです。

◆なぜ抗ヒスタミン薬では眠気が起こるのか?