トレーニング業界のBABYMETAL!? 【マッチョ編集長のマッチョコラム第10回】




日本には独特の“悪フザケ文化”というものがある。古くはカエルやウサギなどを擬人化した「鳥獣人物戯画」。カエルが相撲でウサギを投げ飛ばすなんて、よくよく考えてみればかなりワケのわからないフザけた発想だ。

近年では新宿のロボットレストランPICO太郎なんかもそう。いうなれば「キテレツ」。これを強引に英訳すると「very strange」になり、ニュアンスにけっこうな距離感が生じる。「キテレツ」とは日本人独自の感覚なのかもしれない

そういったキテレツなものも細部にわたって突き詰めていけば、やがては国宝になったり、新宿の観光名所になったり、ジャスティン・ビーバーに絶賛されたりするのである。日本人はワケのわからないものにも丁寧な技術と優れた発想力を注ぎ込み、いちいちクオリティーの高いものを作り出すところがある。

BABYMETALはキテレツの奥にある実力が世界に認められた

アイドルとヘビーメタルを掛け合わせるというめちゃくちゃな発想から誕生したメタルユット、BABYMETALも日本独自の悪フザケ文化が生み出した一つの成功例といえる。3人の女の子が頭を振り回しながらダンスをするという摩訶不思議なビジュアルながら、サウンドはバリバリのメタル。キテレツなんだけど、中身はホンモノ。見た目の“なんだこれは!?”感だけではなく、高い音楽性を有していたからこそ、世界中のフェスから引っ張りだことなる存在になりえたのであろう。

秋葉原に誕生したMAID GYMも、メイドとトレーニングを掛け合わせた、なんだからよくわからないジムだ。その発想はある意味とても日本的であり、BABYMETALなどにも通じるものがある。これでそこそこのマシンしか設置していなければ、ただのフザけジムで終わってしまう。だが、MAID GYMでの指導はフリーウエイトが中心。マシンではなく、パワーラックを重視しているところに、MAID GYMが目指しているものが読み取れる。

BABYMETALは、“なんだこれは!?”感を介して、マニアの音楽だったヘビーメタルを一般層にまで響かせた。国民のわずか3パーセントといわれる日本のフィットネス人口。MAID GYMはトレーニング業界のBABYMETALになれるか